2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中地 義和 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50188942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 浩一郎 聖心女子大学, 文学部, 講師 (20514574)
月村 辰雄 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50143342)
本田 貴久 中央大学, 経済学部, 准教授 (50610292)
深沢 克己 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (60199156)
野崎 歓 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (60218310)
MARIANNE SIMON‐O 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (70447457)
塚本 昌則 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90242081)
新田 昌英 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (70634559)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 仏文学 |
Research Abstract |
年度はじめに立てた計画の第一の軸は、第二帝政期を境目として、ロマン主義からモデルニテの時代への推移のなかで、作品に現れる限りでの作家の歴史意識がどのように変質するかであった。これを詩形式と歴史意識の相関性の観点から考察し、詩といえばもっぱら韻文詩であったロマン派と、晩年に散文詩へ重心を移したボードレールを対照的に捉える作業をまとめた論考が近くコレージュ・ド・フランス(パリ)で刊行される論集に掲載される。また、研究分担者によって、近代の恋愛小説に反映した歴史意識の通観、19世紀末~20世紀初頭の人文諸学の相互作用に見られる歴史意識の考察が、数本の論考にまとめられた。 第二の軸、20世紀の二度の世界大戦をめぐる歴史意識の分析については、二つの戦争の苦難を自ら体験し、それを通じて独特の思想と文学を練り上げていったジュルジュ・バタイユの没後50年を記念するフランスの雑誌の特集への寄稿を通して、日本における需要を 含めて、歴史体験と思想的・文学的形成との関わりの一モデルを検討した。 第三の軸、ポストコロニアル時代に創作活動ないし人間形成、文学的形成を行なった作家たちの検討の実例として、1954~62年のアルジェリア戦争をめぐってカミュとル・クレジオを比較考察する作業を開始した。また、ル・クレジオの歴史意識が濃厚に反映している映画論の翻訳を、巻末に論考を添えて刊行した。 なお、当初予定していた現地調査を実現できなかったため、来年度に集中的に行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究への参加者各自が専門とする作家及び時代に関して、計画に即した個別研究の基礎作業がほぼ計画どおり進み、四年計画の二年目としては順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
前二年の基礎作業を踏まえて個別研究を相互に関連づけ、通観的展望を描き出す作業、また、参加メンバーがこれまで直接に研究対象とはしてこなかったが本研究の成就にとって考察が必要な作家若干名についての追加的検討を行なう。第三年目には、フィールド・ワークと資料収集によって文献学的研究の不足を補いたい。第四年目(最終年度)には、ジャンル論、文学と写真・映画等の他の芸術分野との相互影響も考慮しながら、研究の総括を行ないたい。
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Research Products
(25 results)