2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320066
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中地 義和 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50188942)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 浩一郎 聖心女子大学, 文学部, 講師 (20514574)
月村 辰雄 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50143342)
本田 貴久 中央大学, 経済学部, 准教授 (50610292)
深沢 克己 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (60199156)
野崎 歓 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (60218310)
MARIANNE SIMON・O 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (70447457)
新田 昌英 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (70634559)
塚本 昌則 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90242081)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | フランス近代文学 / 歴史意識 / ランボー / ル・クレジオ / モデルニテ / アンチ・モダン / ポストコロニアル |
Research Abstract |
平成25年度のはじめに掲げた三つの課題のうち、 (1)19世紀の数度の内乱や20世紀の二度の世界大戦と文学作品の生成との関連をめぐる研究については、ユゴー、ボードレールの第二帝政批判、ランボーのパリ・コミューンへの共感と詩作品へのその反映、両大戦間期のNRF系の作家と歴史との関わり、第二次世界大戦期におけるサルトル思想の展開等をめぐり、研究代表者と分担者が各自の担当分野の検討を進捗させた。ランボー、サルトルに関しては次年度にさらに掘り下げる予定である。 (2)物質文明の進歩と反時代意識との相関性をめぐる具体的成果としては、ランボーにおける進歩主義信奉から脱進歩主義への展開を跡づけるとともに、そのプロセスと彼の詩学の展開との関わりを解明すべく、「自己批評家としてのランボー」と題する発表を、11月にヴェネツィアのカ・フォスカリ大学で開催された国際ランボー・シンポジウム「詩学者ランボー」において発表した。 (3)地理的文化的な外部に開かれた現代フランス作家の「時間意識」の研究として、研究代表者が長く翻訳・研究に携わってきたル・クレジオの一連の小説作品の舞台となったモーリシャス、それに付属するロドリゲス島のフィールド・ワークを行なうとともに、現地の研究者・知識人との研究交流の機会をもった。そこから得られた成果を、長篇小説『隔離の島』の翻訳と作品分析(筑摩書房12月刊)に反映させることができた。これらル・クレジオの作品に関する招聘講演を11月にボルドー大学で行ない、12月には当のル・クレジオ氏を東京大学文学部に招き、本研究のテーマに即した「文学創造における記憶と想像力」のテーマで、対談形式の講演会を開催した。現代を生きる一人の作家の個人史とマクロな世界史との絡み合いが、鮮明に炙り出された。この講演会は同時通訳を介して一般聴衆にも開かれ、日刊紙(産経、朝日)や「週刊読書人」でも報道された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも検討対象とする作家の数を絞り、その代わりに歴史的文脈への目配りを緻密にしつつ作家の歴史意識、文学作品の歴史性を、より具体的に炙り出すことを目指している。その限りではおおむね順調に推移しており、最終年となる次年度の総括の材料がそろいつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、本研究の対象として検討してきたフランス近代作家の歴史意識をめぐる個別研究を束ねて一個の通観的展望を素描するための総括作業に重点を置く。同時に、ランボーの歴史感覚、サルトルと戦争などのテーマをさらに掘り下げる予定である。
|
Research Products
(20 results)