2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23320069
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
納富 信留 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50294848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻原 理 東北大学, 文学研究科, 准教授 (00344630)
近藤 智彦 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30422380)
栗原 裕次 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40282785)
田中 伸司 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (50207099)
大芝 芳弘 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (70185247)
田坂 さつき 立正大学, 文学部, 准教授 (70308336)
土橋 茂樹 中央大学, 文学部, 教授 (80207399)
高橋 雅人 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (90309427)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 正義論 / プラトン / 西洋古典 / イギリス / オクスフォード / 自由 |
Research Abstract |
研究2年目にあたる本年度は、以下の研究を推進した。 1、 講演会:5月25日にカリフォルニア大学バークレー校のジョヴァンニ・フェラーリ教授に三田でプラトン哲学について講演をしていただき、科研メンバーを中心に多数の参加者と議論を行った。12月27日に佐野好則の研究報告(非公開)を、3月10日の研究会では、北海道大学の安西眞教授による公開講演会を開催した。 2、合評会:平成24年度から、ギリシア哲学に関する最新研究成果(おもに単行本)を取り上げ、著者に参加していただく公開合評会を開催することにした。9月7日には茨城大学の渡辺邦夫氏に日吉キャンパスで、著書『アリストテレス哲学における人間理解の研究』(東海大学出版会)についてコメンテータ4名(荻野弘之、神崎繁、河谷淳、中畑正志)を中心に活発な議論を行った。また、2月9日には日吉で京都大学の中畑正志氏の著書『魂の変容―心的基礎概念の歴史的構成』(岩波書店)を取り上げ、著者を中心にコメンテータ4名(松浦和也、土橋茂樹、荻原理、渡辺邦夫)と多数の参加者の間で議論を行った。3月10日には北海道大学で、納富信留『プラトン 理想国の現在』(慶應義塾大学出版会)の合評会を行い、コメンテータ3名(三浦洋、増渕隆史、川谷茂樹)との議論を行った。 3、オクスフォード学会開催: 2012年8月6~7日に英国オクスフォード大学にて、古典学研究所、コルプス・クリスティ・カレッジとの共催で学会“Freedom and the State: Plato and the Classical Tradition”を開催した。佐野好則、納富信留、近藤智彦、土橋茂樹、栗原裕次、荻原理、高橋雅人、大芝芳弘が研究発表し、イギリスの研究者からコメントを受けて活発な議論と学術交流を行った。 4、研究メンバーは当初の計画に従い、英文による研究成果の執筆・発表を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は8月にイギリス・オクスフォード大学で開催した学会で、イギリス研究者と日本からの参加者合わせて50名ほどが、2日にわたって英語で活発な議論を交わした。この規模と内容での国際学会はきわめてまれであり、イギリスから参加した専門家の評価もきわめて高かった。 また、平成24年度から開始した「研究書合評会」は、渡辺邦夫、中畑正志、納富信留の新著をそれぞれじっくりと多角的に検討することができ、多くの参加者をえて科研の活動をより開かれたものにすることができた。この点では、プロジェクトが従来の目的から一歩踏み出し、日本における西洋古典学・西洋古代哲学の全般的な発展への中核として役割を果たしていく態勢を整えつつある。 これらの活動を中心に、英文による「プラトン正義論」にかかわる包括的研究も順調に進んでおり、英文による研究成果の発表は報告も多数なされている。とりわけ、2010年8月に慶應義塾大学で開催された国際プラトン学会の「第9回プラトン・シンポジウム」の『選抜論文集』を納富信留とリュック・ブリッソンの共編でドイツ・アカデミアフェアラーグ社から出版することができ、プラトン研究の中心地としての日本の研究をアピールすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、これまでの研究の方向をさらに発展させて、具体的には次の点に重点をおいて共同研究を進めていく。 1、国際学会への参加・研究発表:当初の計画通り、7月にイタリア・ピサで開催される「第10回プラトン・シンポジウム」、及び、8月にギリシア・アテネで開催される世界哲学会大会に複数のメンバーが参加し、プラトン哲学や古代正義論について研究成果を発表すると同時に、情報や意見の交換を行う。 2、『第9回プラトン・シンポジウム選抜論文集』に収められた論文を中心に合評会を行う。また、メンバーが出版する予定の新しい研究書についても、随時共同で公開の合評会を開いていく。 3、これらの活動を中心に、英文での研究成果の発表をさらに進め、年度末までに成果論文集のおおまかな編集のめどを立てる。そのためには、新たに若手研究者に協力を依頼し、必要な編集作業にあたってもらう。
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Research Products
(22 results)