2012 Fiscal Year Annual Research Report
時空間・論理領域の間の類比マッピングの形式モデル化とその検証
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23320085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田窪 行則 京都大学, 文学研究科, 教授 (10154957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今仁 生美 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (20213233)
坂原 茂 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40153902)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 「行く」の過去助動詞化 / 「来る」の始発・継続助動詞化 / 空間オリエンテーション / 時空間マッピング / 論理領域 / 位相幾何学 |
Research Abstract |
(1) 時空間と論理領域の間のマッピングに関する研究 坂原は、動詞の現在形が例外的に過去を表す助動詞になったと言われるカタロニア語とガスコン語の資料調査と、日本語「来る」の始発相、継続相助動詞への文法化の研究を行った。資料調査の結果、カタロニア語では現在も「行く」を表す動詞が過去表示の助動詞として使われているが、ガスコン、プロヴァンサルなどの南フランスの言語では、標準フランス語と同様、「行く」の過去表示用法は見られず、未来表示の助動詞に転化していることが確認できた。日本語の「来る」に関しては、始発相、継続相の成立にメタファと概念融合が重要な役割を果たしていることを明らかにした。今仁は、時空間における位相的な相関に関するこれまでの研究を踏まえて、自然言語の「中」、「間」、「内」に関する位相的な属性を抽出することを試みた。その成果の一部は、2013年1月13日に滋賀県雄琴で開催された「平成24年度第2回意味と理解研究会」主催の会合にて「計算機による「中」の扱い」という題目で発表した。田窪は、本来空間表現である「ところ」が、なぜ、時間やさらには条件文の帰結や譲歩文など論理領域の用法を持つかのメカニズムを類比マッピングとアップデート意味論により研究した。この成果をソウル大学、ゲッチンゲン大学で発表した。 (2) 時空間マッピングのジェスチャーによる検証実験の準備 時空間認識が相対オリエンテーションか絶対オリエンテーションかを実験的に確かめるため田窪は海外共同研究者のRafael Nunez氏、研究協力者長屋尚典氏と宮古島西原地区で池間方言母語話者5名(60代~80代)に対し準備的調査を行った。その結果、言語を用いた課題でも、動作を用いた課題でも絶対、相対の両方のオリエンテーションを示す場合があることが判明した。この結果を踏まえて、被験者20名規模の本実験計画を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究計画はほぼ達成できた。ただ、宮古島での実験計画は、実験場所の確保ができず、当初予定していた被験者は60代~80代の方言話者5名しか得られなかった。また、80代の被験者に対しては指示が伝えにくいことも判明した。ただ、その5名には計画していたすべての予備実験を行えたため大きな支障はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、時空間・論理領域の類比マッピングに関する形式モデルを作成する段階に入る。また、空間認知に関する実験を平成25年度に行う。もし予定通り実験が行えない場合は、これまでのビデオ映像の解析を行う。平成26年度は成果のまとめと海外共同研究者を招いてシンポジウムを行う。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] Concessive ‘tokoro’
Author(s)
Takubo, Yukinori
Organizer
Relating Particles to Evidence and Inference
Place of Presentation
The Lichtenberg-Kolleg, Goettingen, Germany
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