2013 Fiscal Year Annual Research Report
時空間・論理領域の間の類比マッピングの形式モデル化とその検証
Project/Area Number |
23320085
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田窪 行則 京都大学, 文学研究科, 教授 (10154957)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今仁 生美 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (20213233)
坂原 茂 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40153902)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 言語学 / 類比マッピング / メンタルスペース / 空間認知 / 推論 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
①類比マッピングの形式化: (1)今仁と連帯研究者である宝島(位相学)との共同研究を基盤として「中、間、内」といった時空の類比マッピングの形式化を進め、さらに「前」や「後」といった時空の類比マッピングも論理的な分析が可能となるよう理論の拡張を行った。その成果を内外の学会で発表した。(2)これまで始発相と分析されてきた日本語ダイクシス動詞「来る」の時間表示用法について、より多くの例を収集・分析して,メタファ投射の整合性、概念融合の自然さの観点から、結果相と分析すべきであるという結論に至った.(3)スペイン語のvenir「来る」には、継続相(Vengo viviendo en Tokiodesde hace 10 anos[私は東京に10年前から住んできた]) と、結果相(Los dias vienen a ser mas cortes[日が短くなってきてしまった])と思われる用法がある。これらの用法を空間移動と時間とのマッピングの観点から検討した。 ②論理意味論的アプローチ: Magdalena Kaufmann氏、Stefan Kaufmann両氏と日本語空間表現の時間領域、論理領域へのマッピングに関して、Krazterの意味論を使用して記述した。ジュネーブで行われた第19回国際言語学者会議でワークショップを主催し、その成果を発表した。 ③宮古島データベース作成: 空間、時間、論理推論に関係するジェスチャー研究の基礎となるデータを作成し、web上で公開する(www.kikigengo.jp)とともに、関係する書籍を公刊した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち、時空間マッピングのジェスチャー分析による検証は予定通りに実施できなかった。これは被験者が60代と比較的若い世代でしかできない課題であったため、共通語の影響が大きく出たためである。この課題は実験デザインを変更して、70代以上の高い年代の被験者に対してもう一度行い、それでもうまくいかない場合は、当初の予定通り、映像分析など、他の検証方法で代替する。 その他の研究目的の達成度は予定通りに進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年は最終年度に当たるためこれまでの研究の継続とともにまとめを行う。 具体的には、①時空間マッピングの形式化と②論理意味論的アプローチの継続とそのまとめ、さらには③両者の統合である。①は今仁、宝島、坂原、②は今仁、田窪、③は田窪と海外研修を終えて分担者に復帰した下嶋があたる。 時空間マッピングのジェスチャーによる検証はあらたな実験が困難になることが予測されるため、これまでのデータを分析することを主として行う。これは田窪が研究協力者と行う。 以上の研究成果を公表するため海外共同研究者を招いて、公開のワークショップを行う。
|
Research Products
(7 results)