2011 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語発話の時間韻律制御に見られる第一言語の定量的影響分析とモデル化
Project/Area Number |
23320091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
匂坂 芳典 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70339737)
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Keywords | 音声 / 音声学 / 音声情報処理 / 英語教育 |
Research Abstract |
本研究では、母語によって異なる第二言語音声の生成・知覚現象を音声科学として理解し、教育に資するため、第二言語学習者に見られる音声生成の時間制御・知覚特性分析を目的とする。まず、学習者の時間長制御傾向を把握するため、日本人学習者英語音声区分の時間長を解析した。英語教師が付与した主観評価得点と、学習者音声と英語母語話者音声に見られる各音声区分の持続時間長の相違に対しての相関分析を行った。この結果、文中の強音節数が1、2、3と増加するにつれて、相関値は、各々0.34、O.49、0.68と上昇することが判明した。これから、英語音声の強勢と弱勢に基づくストレスタイミングの実現が、日本人学習者ではうまくなされておらず、複数のストレス(強音節)を有する音声サンプルほど明確な差異が生じていることが明らかとなり、客観的な測定量で能力差を定量的に評価する上での測定対象に対する配慮が必要であることが判明した。 また、言語による時間長制御の違いが、音素カテゴリの生成・知覚に与える影響を解祈するため、促音と非促音、長母音と短母音といった、日本語学習者にとって学習が難しい特殊拍について分析した。この結果、発話テンポが異なる音声を用いた学習の優位性が示されると共に、韓国人学習者の日本語音声の知覚判断特性の分析により、促音の誤答の傾向と音の大きさを表す感覚尺度であるラウドネスとの相関があることが明らかとなった。この結果により単に音声の時間長比較だけでなく、リズムやタイミングの知覚現象としての詳細解明の必要性が明らかとなった。 さらに、本研究が対象とする母語による違いの分析を可能とするため、第二言語作成と利用に関する共同研究コンソーシアムAESOPに参加するアジア圏研究者との連携を図り、台湾(新竹市)で国際ワークショップを開催すると共に、日本、中国、ミャンマーを母語とする英語音声コーパスの作成を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人学習者の英語音声のストレス制御に基づく音声学的な分析、韓国人学習者の日本語音声学習実験に基づく聴覚的な分祈に着手できると共に、アジア人英語音声コーパス収集も順調に開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究立案時は、第一言語の関与を明確とするために異なった多くの第一言語を持つ音声の比較をまず初めに考えていたが、単に言語を増やした比較だけでなく、言語固有の係わり方についても配慮した分析を加える。とりわけ、韓国語母語話者の日本語音声への関与などを見る過程で、言語固有の深い係わり方が予想され、分析が進んだ言語についてはさらに細かな言語固有の分析を行うことにより、理解が進むと期待される。また、第二言語音声の音響・韻律分析と合わせ、その客観評価の対象となる母語話者および第二言語教育者の評価についても検討を進め、客観評価への成果展開を積極的に図ってゆく。
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Research Products
(5 results)