2011 Fiscal Year Annual Research Report
ろう者・聴者の言語意識の改革を目指した「日本手話話し言葉コーパス」の構築
Project/Area Number |
23320092
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
坊農 真弓 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 助教 (50418521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大杉 豊 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 准教授 (60451704)
菊地 浩平 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 研究員 (60582898)
堀内 靖雄 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (30272347)
原田 なをみ 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (10374109)
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Keywords | 日本手話 / コーパス / 話し言葉 / ろう者 / 聴者 / 言語意識 / アノテーション / 手話通訳 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ろう者(日本手話を生活言語とする聴覚障害者)と聴者(日本語を生活言語とする人々)が,互いの言語の存在を認め,互いのコミュニケーションスタイルを尊重しあう環境の実現である.具体的には,日本語と比較して圧倒的に言語権を得ていない日本手話の話し言葉データを計画的に収録し,コーパスとしてまとめ,言語研究の資料として扱える環境を整備することである.従来の日本手話研究は主に作例が用いられ,実際の話し言葉には焦点が当てられてこなかった.本研究では,我々がこれまで音声日本語の話し言葉の研究を進めてきた経験から,対話やインタビュー等の自然な日本手話の話し言葉の収録・分析に重きを置く.本研究により,これまで文法体系や語彙体系に主眼が置かれてきた日本手話研究に,社会言語学的・コミュニケーション論的アプローチの有用性を示すことが可能になる. 初年度は,コーパス作成のための外部連携とコーパスデザインに力を入れた.外部連携については,(1)イギリス手話コーパスプロジェクトを引導したアダム・シェンブリ博士(ラトローブ大学,オーストラリア)を迎えてコーパス手話言語学に関する国際ワークショップを実施,(2)日本手話使用者団体と手話通訳者団体のそれぞれの本部に研究協力の申し入れ,(3)群馬県と奈良県の日本手話使用者団体と手話通訳者団体に研究協力の申し入れ,具体的な実施事項の打ち合わせ,パイロットスタディ(データ収録テスト),(4)研究チームでのコーパスデザインに関する議論を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は予算が減額される可能性が提示されたため,初年度に予定していた本収録を次年度初頭に実施することにした.よって,スケジュールは当初の計画からは遅れているが,おおむね順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年5月には群馬県でデータ収録を予定しており,同年6月と7月には奈良県でデータ収録を予定している.収録されたデータは地域の手話通訳者団体の協力を得,日本語翻訳と単語区切り情報を作成していただく(同年12月終了目標).同年9月にはそれらの情報を徐々に国立情報学研究所に集め始め,アノテーションソフトウェアELAN上でアノテーションを開始する.また,収録協力を受けた群馬県と奈良県の関係者を中心に「コーパスとは?」といったタイトルの一般向けのワークショップを実施する平成25年度は,引き続きアノテーション作業を続け,コーパス公開に向けたデータ整備を実施する.
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Research Products
(19 results)