Research Abstract |
1.過年度までに構築した諸データベース類の整理・補正,及び増補すべき文献資料の調査 過年度までに日本キリシタン文献の日本語版本(ローマ字本・漢字仮名交じり本双方),日本語を含む多言語の版本,コンカニ語宣教文献の主要写本・版本のデータベース(DB)類を構築済であり,又,平成21年度日本学術振興会「先端学術研究人材養成事業」としての「大航海時代の「宣教に伴う言語学」研究のための非一極集中型研究環境の構築」による分散リソース構築の成果も保持しているため,それに基づくDB類の整理・補正を行なった。又,国際的な共同研究を進めているUTAD(トラーズ・ウズ・モンテス・イ・アルト・ドウロ大学,ポルトガル)が編纂した文献学的データを受領して,DBに組み込み,試験的に公開した。http://joao-roiz.jp/LGRP/。関連して,今後増補すべき文献の原本調査を行なったが,マノエル・バレト自筆「葡羅辞書」(リスボン科学アカデミー)は,調査日程の調整が難しく,来年度以降へ送る事とした。 2.データベース類の統合のための,キー言語となるポルトガル語・ラテン語項目の正規化 上記のUTAD編纂した文献学的データから異形態を取り出して,ポルトガル語・ラテン語項目の正規化用DBを作成し,上記の試験公開(LGRP)で試用に供した。 3.江戸初期の日本語漢宇語彙集成の正規化のための「時代別国語大辞典データベース」活用 ここで「漢字(表記)語彙」とは,必ずしも漢語ではなく,漢字表記を一般とする大和言葉・他言語からの借用語類をも含む。代表者(豊島)が,平成20・21年度科学研究費研究成果公開促進費(データベース)によりDB化した三省堂「時代別国語大辞典」上代編・室町時代編(全五巻)の全文のソースデータから,漢字表記語彙を抽出し,「時代別国語大辞典」の見出し語認定を参考として,日本語漢字表記語彙のバリアント(異表記・異形態など)の正規化データを試作した。 4.日本キリシタン版漢字仮名行草体金属活字のレパートリ画定 現存全てのキリシタン版の漢字・仮名行草金属活字の一字単位でのDB化を完了した。但し,具体字認定等の方針にかなりの揺れが残っているため,今後校正を繰り返す必要がある。 5.国際学会での成果発表 2011年9月のMissionary Linguistics国際ワークショップ(サン・パウロ大学,ブラジル)へ代表者(豊島)が招待されて講演を行なった他,2012年3月のMissionary Linguistics国際学会(ブレーメン大学,ドイツ)で,代表者・分担者が成果発表を行なった。 6.研究に関連する単行本の出版 代表者・分担者らの共著による単行本「ひですの経」(八木書店)を出版し,本研究の研究題目に関連する最新の知見を要約して掲載した。又、コンカニ語公教要理の研究書等を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作成済データベースの校正,及び原本調査を予定していたマノエル・バレト自筆「葡羅辞書」(リスボン科学アカデミー)の原本調査が,日程調整が難しく遂行出来なかった点などを除けば,研究計画に立項した全ての面で,ほぼ計画通りに研究が進行している。
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