2013 Fiscal Year Annual Research Report
多言語辞書と金属活字印刷から探るキリシタン文献の文字・語彙同定の過程
Project/Area Number |
23320093
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
豊島 正之 上智大学, 文学部, 教授 (10180192)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 純 信州大学, 人文学部, 准教授 (20312324)
丸山 徹 南山大学, 人文学部, 教授 (40165949)
岸本 恵実 京都府立大学, 文学部, 准教授 (50324877)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 宣教に伴う言語学 / Missionary linguistics / キリシタン文献 / Jesuit mission press / 多言語辞書 / polyglot dictionary / 漢字語彙 / 金属活字 |
Research Abstract |
1. 調査・増補した文献資料類の多言語データベース(DB)への編入:ラテン語をベースとする文献に就き,対照すべき他文献と共に,DB編入を進めた。又、キー言語であるポルトガル語・ラテン語の正規化用データベースを再度検証し,多言語のリレーションが取れるように修正を重ね,データベースの運用試験を重ね、部分的には一般への供用も行なっている。http://joao-roiz.jp/LGRM/, http://joao-roiz.jp/LGRP/ など(丸山・豊島) 2 日本キリシタン版漢字仮名行草体文献の原本調査:「ぎやどぺかどる」(ミュンヘン・バイエルン州立図書館蔵)などの原本を現地で精査し,書誌学的・文献学的な記述を進展させた。(白井・丸山) 3. 日本キリシタン版漢字仮名行草体金属活字のレパートリ確定:昨年度にほぼ完了した後期キリシタン版単字(一字又は連綿一コマ)レベルの行草体金属活字集成データベースに就き,上記の「ぎやどぺかどる」も含めた原本調査に基づき更に編集・校正を進めて精度を向上させ,日本イエズス会の仮名漢字活字レパートリをほぼ確定した。(白井・豊島) 4. 日本語漢字語彙集成への慶長~寛永期古活字版類の漢字表記語彙の追加:一昨年度に構築を開始した慶長~寛永期古活字版類のテキスト・文字単字画像データベース(DB)は,大部分が昨年度に入力終了したので,若干の増補を行いつつ校正を進めている。(豊島) 5.研究成果を国際学会で発表した他、有数の国内貴重書専門図書館である東洋文庫での書誌学講習会にて招待講演を行った。(岸本・白井・豊島)。又、今年度までの研究成果を単行本「キリシタンと出版」(八木書店刊行)として刊行したが、その後、本書は、今年度(平成25年度)第35回「日本出版学会賞」を受賞した。(2014年5月)(全員)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 文献資料類の多言語データベース(DB),及び「日本語漢字語彙集成」DBの構築が,順調に進んでおり,既に一部分は一般にも公開・供用している。 2. 原本調査は,ぞれぞれの勤務先の都合により共同調査は実現出来なかったが,各自がそれぞれ調査して十分な情報交換する事によって,書誌学的・文献学的な記述を進展させる事が出来た。これは,上記のDB類構築にも寄与している。 3. 日本キリシタン版漢字仮名行草体金属活字のレパートリは,校正を進める事で,ほぼレパートリを確定した。但し,異体字認定方針などには,(特に木活字の混入部分で)なお精細化を要する点があり,来年度への課題として残った。 4. 日本語漢字語彙集成は,DBとしての構築は順調である。 5. 今年度までの成果を国際学会で発表した他、専門的な学術講習会に招かれて招待講演を行った。更に、研究成果に基づく学術出版である単行本「キリシタンと出版」(2013年10月,八木書店刊)が,今年度(平成25年度)第35回「日本出版学会賞」を受賞(2014年5月)し,本研究の成果が,第三者の学術団体によって高く評価された。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 構築した文献資料類の多言語データベース(DB)・「日本語漢字語彙集成」DBの構築を進め、全貌を一般に公開・供用する。このために、インターフェース・デザインを刷新して、ユーザが容易に必要な検索結果に到達出来る様な改良を施す他、全面的に日本語・英語の両言語表記とする。 2.研究成果による単行本は昨年度の学術賞(第35回「日本出版学会賞」)を受賞し、既に高い評価を頂戴しているが、更に、論文・国際学会での発表などを通じて、研究成果物を国際的に公開し、国際的な共同研究を志向して行く。又、この課題を拡大した共同研究を来年度以降に企画している。
|
Research Products
(18 results)