Research Abstract |
本研究の目的は,日本語教育においてeラーニングが支援できることについて,eラーニングを組み込んだ教授法,コンテンツ開発,サポートシステムの面から調査,分析,実践,評価,改良することにある。特に初級から中級,上級とレベルが進むにつれて,要素中心の教育から内容中心(コンテントベース)の教育に移行することに着目し,要素のインプットが中心となる初級,要素中心と内容中心の両面の教育が必要な中級,コンテントベース中心の上級のそれぞれのレベルに応じたブレンディッド・ラーニングにおけるeラーニングの効果的な活用方法について検討する。 このうち,今年度は,各レベルにおいて以下のとおり,コンテンツの改良を中心に進めた。 初級レベルでは,基本的な口頭練習である「ドリル」のコンテンツに辞書機能をつけられるよう改良した。「ドリル」をまんべんなく利用した学習者は文法的に正確な文をスムーズに発話できるようになるため,学習者が挫折することなく利用できるよう,意味が理解できた上で練習が行えるようにするためである。実装は次年度を目指している。 中級レベルでは,『中級文型指導書』を授業で利用し,改訂情報を収集した。また,学習者が復習したい文型を簡単に探せるよう,初級レベル,中級レベルを合わせたWeb版文型辞典を作成したが,使いやすくするため,ユーザーインターフェースを改良する必要があることがわかった。 上級レベルでは,Skypeで海外の教育機関とその地域の言語を専攻する本学の学生を結び,上級コンテンツの試作版を使った遠隔授業を実施し,必要なサポートや事前準備についての事例を収集した。 そのほか,プレイスメントテストを来日前に行えるよう,課題配信機能を強化した。 学会では,初級,中級,上級の各レベルでのeラーニングの活用方法について発表し,自己学習だけではなく,教室授業でどのように活用できるかに重点を置いて発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
学習履歴の調査については,データ数が膨大で,Excelによる処理件数を超えているため,統計処理専門の教務補佐を雇用し,対処したいと考えている。 また,今年度は,学生によるサポートチームを立ち上げ,遠隔授業等機動的に行えるようにしたい。
|