2011 Fiscal Year Annual Research Report
外国人散在地域の子どもの教育における保護者・学校・支援者の連携・協働モデルの構築
Project/Area Number |
23320109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
土屋 千尋 帝京大学, 文学部, 教授 (00242389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 由美子 山形大学, 基盤研究院, 准教授 (20292708)
松岡 洋子 岩手大学, 国際交流センター, 准教授 (60344628)
中川 祐治 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (70352424)
馬場 良二 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30218672)
富谷 玲子 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (40386818)
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
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Keywords | 外国人散在地域 / 外国につながる子ども / ネットワーク形成 / 結婚移住女性 / 子どものセーフティネット / 生活言語と学習言語 / 母語・母文化 / 連携・協働 |
Research Abstract |
研究の目的は、「外国人散在地域である山形・岩手・福島・熊本の4地域に焦点をあて、外国につながる子どもの教育・支援における保護者、学校教員、外部支援者の連携・協働体制のモデルを構築する」ことである。1年目の2011年度は以下の成果がえられた。(1)4地域の子ども支援者のキーパーソン6名(山形2名、盛岡1名、一関1名、福島1名、熊本1名)と保護者(熊本1名)にインタビューをおこない、文字化資料を作成し、現在分析を継続中である。(2)山形の文字化資料の分析を参照し、山形における行政・学校・支援三者の連携・協働のあり方の現状を考察し、論文にまとめた。また、山形県の教職員組合主催の教育研究集会に参加し、山形県の高校におけるJSL生徒の状況と教育実践について情報を収集した。くわえて支援者のネットワークを活用して、状況が把握できていなかった最上地方と、米沢市を中心に置賜地方の子どもの調査に着手することができた。(2)岩手山で開催された子どもキャンプに、岩手県のみならず、八戸、仙台、福島からも参加があり、子どもたちと大学生の交流、保護者と研究者と支援者の情報交換ができた。(3)福島の子どもシンポジウムの企画に協力し、福島の状況をかんがみ、「移動する子ども」という視点でテーマを設定、その結果、一般の参加者の外国につながる子どもへの実質的な理解がふかまった。(4)熊本県立大学主催の「帰国・外国人児童生徒の日本語の先生と担任のための研修会」に東北の研究者と支援者が参加、一方、岩手大学が中心となって開催した東北6県日本語学習支援ネットワーク会議に熊本の研修者と支援者が参加、双方の地で情報収集とはなしあいをおこなうことができ、4地域の支援者のネットワーク形成につながった。また、熊本県の支援者と学校教員が中心となって、九州こどものにほんごネットワークのMLができ、東北の支援者も参加し、現在情報交換を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査研究の対象地域に3・11の被災地がふくまれている。津波の被害、原発の影響は、未だ収束していない。科研を開始した当初、調査研究のためのこころないアンケート調査に人々がつかれているということをきいた。したがって、我々の研究は、無理に3・11とからめない、インタビュー協力者の自主性を重んじるという方針をうちたてた。この方針を大切にして、研究のための研究にならないように留意するという合意をえた。この方針をふくめ研究の目的について、山形・岩手・福島・熊本4地域の支援者キーパーソンにつたえ、理解と協力の約束をえることができた。また、インタビューおよび研修会・シンポジウムを通じて、彼らと常に連絡をとることで、連携・協働をふかめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
4地域の調査研究の成果発表につとめる。また、当該研究の目的として、外国につながる子どもが、自己存在感・自己有用感をもって学校生活がおくれるということがあるが、今年度、研究調査をしていく上で、外国につながる子どもが「学校」そのものにアクセスできないケースがあることがわかってきた。外国人に就学の義務がないことで、不就学のまま放置されている危険性もある。その実態も把握し、不就学におちいることがないような方策の構築、子どもの学習権・教育権についても十分に留意することにつとめたい。
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