2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320110
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐久間 まゆみ 早稲田大学, 日本語教育研究科, 教授 (30153943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 圭 一橋大学, 国際教育センター, 准教授 (40313449)
藤村 知子 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (20229040)
渡辺 文生 山形大学, 人文学部, 教授 (00212324)
田中 寛 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (60207131)
宮田 公治 松蔭大学, コミュニケーション文化学部, 准教授 (40308268)
青山 文啓 桜美林大学, 言語学系, 教授 (70184059)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 講義の談話の表現特性 / 大学学部留学生の講義理解 / 受講ノート / 受講要約文 / 受講インタビュー / 文章型・談話型 / 情報伝達単位(CU) / 日本語機能文型 |
Research Abstract |
本年度の主な研究課題は、最終年度の本研究の完成に向けて、大学学部留学生による人文学系講義の理解の問題を解明し、解決策を検討するための各種調査データの整備と調査結果の分析の二点にあった。 1.講義理解の調査データの整備 (1) 講義G・Hの3種の理解データ(受講ノート・受講要約文・受講インタビュー)を本年度7月と10月の2回の調査で、大学学部留学生の中国語母語話者の計51名及び韓国語母語話者計50名を収集して補充した。(2) 昨年度収集済みの講義Aの理解データ3種と講義の原話Aの「情報伝達単位(CU)」の残存認定作業がほぼ完了した。(3)全14種の講義A~Hの談話の表現特性を分析するために、コンピュータによる自動処理システムを構築し、講義の「日本語機能文型」の検索作業を実施した。(4)共同研究を能率的に遂行するために、オンライン・ストレージにデータを置き、各種データのアクセスと管理を容易にした。 2.講義理解の調査結果の分析 (1) 講義Aの「情報伝達単位(CU)」による原話残存認定作業を通して、講義の「過程的理解」(受講ノート)と「結果的理解」(要約文・インタビュー)という受講者の理解過程の一元的記述が可能になり、「情報伝達単位(CU)」の残存傾向から原話の「談話型」や「話段」との関連が明らかになった。(2)3種の理解データの比較から、日本語母語話者の学部学生と中国語・韓国語母語話者の学部留学生による講義理解の実態が把握されつつある。(3) 講義の談話における「話段」の多重構造について、原話の表現特性と受講者の理解調査の結果から検証する方法を構築しつつある。(4) 講義における8レベル別全803例の「日本語機能文型」の使用傾向から、学部留学生の講義理解の問題を解明し、解決策を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3種の講義A・G・Hの3種の理解データ(受講ノート・要約文・インタビュー)の量が予想以上に膨大であり、理解データに対するタグ付けと原話残存認定作業に追われ、調査結果の分析と考察にかかる時間が十分に取れずにいるため、当初の予定よりもやや遅れている現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
講義Aの理解調査データの処理と分析はほぼ完了したが、講義G・Hの3種の理解データ(受講ノート・要約文・インタビュー)の3種の被調査者集団による分量が膨大であるため、最終年度内にすべての理解データのタグ付けと原話残存認定作業と調査結果の分析を完了することが困難な見通しである。そこで、理解データのタグ付け作業と原話残存認定作業を、自然談話の講義G・Hの理解データを優先して分析することを検討中である。もちろん、収集済みの全データの文字化資料を作成し、各種の分析単位を認定して、講義の表現と理解のコーパスを作成し、量的な研究とするという当初の研究目的自体は変えずに、学術的な評価に十分耐えうるものにしたいと考えている。 一方、本研究では、一部の受講者について、講義中にノートを取る際の手元を撮影し、その後、VTR視聴とともに、フォローアップ・インタビューを実施したが、これらのデータの分析を通して、講義理解の質的な研究の側面を強化し、量的な研究との相互補完を図ることを計画している。以上のような分析方法の省力化・効率化を図ることで、調査結果の分析・考察に要する時間を確保し、最終年度には、講義理解の教材開発を進めることにする。
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Research Products
(10 results)