2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポートフォリオ的アプローチによる未来指向型英語指導モデルの構築
Project/Area Number |
23320117
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
高田 智子 明海大学, 外国語学部, 准教授 (20517594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緑川 日出子 昭和女子大学, 人間文化学部, その他 (10245889)
伊東 治己 鳴門教育大学, その他の研究科, 教授 (90176355)
松澤 伸二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (90207043)
臼倉 美里 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (00567084)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 学習者の自律 / agency / Can-Doリスト / ポートフォリオ / 英語コミュニケーション能力 |
Research Abstract |
過去2年間の文献調査,実地調査に基づき,学習者の自律と英語コミュニケーション能力を育成する指導は,①学習の見通し,②言語活動,③内省の3つを柱とするという方針を確立して24年度を終えた。この理論的裏付けのもと,25年度は中学・高校の現職教員の協力を得て,各研究者の本拠地で実践研究を行った。以下,地区ごとに報告する。 (1)新潟:研究者の指導の下,研究協力者が中学1年生と高校1年生を対象にアクション・リサーチをした。いずれの実践でも,①学習の見通しを持たせ,③内省を促す手立てとして,プログレス・カードとポートフォリオが開発された。②言語活動には,スピーキング(中学)とライティング(高校)のタスクの学習に,ジャンル準拠指導が採用された。 (2)徳島:高校2年生対象のライティングの授業において,9月から12月にかけて,CAN-DOリストとタスクの融合をはかる授業を展開した。研究者と大学院生がタスクを軸としたワークシートを作成し,それを使って高校の担当教師がALTとティームティーチングを実施した。毎回授業を振り返ることにより生徒の省察を促し,自律性の涵養を図った。 (3)東京:中学1・2年生,高校1年生を対象に上記自律の3本柱を実践するためのプログレス・カードの作成,試行,改善を行った。各研究協力者による実践に加えて3回の合同勉強会と,研究分担者との個別指導を通して,学習到達目標,それを達成するための小目標,自己評価欄を含むプログレス・カードの雛形を完成させた。 (4)千葉:高校1年生を対象に自律の3本柱を実践しつつ,自己評価能力を高める指導法の改善を考えた。研究協力者と勉強会を9回重ね,内省を促すために学習到達目標に対応する評価の観点を生徒と共有することとし,指導の現状を振り返ると共に,学習指導要領,同解説,評価規準設定のための参考資料等を踏まえて評価規準を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各地区で試行したポートフォリオ的アプローチの効果測定には至らなかったが,研究者と研究協力者が信頼関係のもとに研究体制を確立し,本アプローチの原理を実践に組み込み,シラバス作成・指導法・評価法の改善に役立てた。
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Strategy for Future Research Activity |
プログレス・カード,ワークシート,ポートフォリオ等,形式は地区ごとに異なるが,学習者の自律と英語コミュニケーション能力を育成する指導法を不完全ながらも考案し,実践したのが25年度の実績である。26年度はこの指導法に改善を加えて実践を続け,生徒の内省の記録および言語使用の産出物を通時的に観察・分析する。このように,自律の3本柱を具現化する中で学習者の自律と英語発信力の変容の過程を明らかにし,英語指導モデルの構築に取り組む予定である。
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