2012 Fiscal Year Annual Research Report
コーパス言語学に基づく司法英語の活用発信型辞書の開発
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23320119
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
鳥飼 慎一郎 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 教授 (90180207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溜箭 将之 立教大学, 法学部, 准教授 (70323623)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 司法英語 / コーパス言語学 / 司法英語の専門用語 / 一般英語 / 最高裁判例 / ロージャーナル |
Research Abstract |
2012年度は大幅に研究が進んだ年であった。2011年度にすでに司法コーパスの構築をほぼ終えており、それを基に、主として一般英語の語彙が司法の専門的な意味で司法英語で使用されている事例について集中的に調査研究を行った。具体的には、一般英語であって司法英語の専門的な意味で使用される典型的な名詞を43語(例:act, battery, decision, order, sentenceなど)、司法英語独特の意味用法で使用される極めて一般的な動詞を37語(例:call, enter, file, pass, satisfyなど)を選出し、それらについて構築した司法コーパスの中でどのように使用されれているのかを、コーパスソフトのスケッチエンジン、アントコンクなどを使って分析をした。また、極めて使用頻度が高い基本的な司法英語を94語(例:appealant, plaintiff, charge, debt, property, trialなど)を選出し、これらがどのようなディスコースのどのような文構造の中で使用されているのかを調べ上げていった。 これらの研究成果は、第51回大学英語教育学会国際大会(於:愛知県立大学)で研究発表として公表している。また、『アメリカ法』(2012-1)においては、連邦最高裁判例における辞書の使用ことの是非について紹介している。立教大学異文化コミュニケーション学部紀要においても、司法英語における"-edly"形副詞の使用形態をコーパス言語学の視点から論文にまとめて発表している。 本研究の研究成果を社会に還元するためと、司法英語の正しい理解と啓蒙を兼ね、法学部向けの司法英語の教科書にまとめ、出版することも話が進んでおり、すでにその編集作業に取り掛かっているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでに司法英語のコーパス構築をほぼ完了しており、計画した工程表に沿って前倒し的に作業を進めている。このようなことが可能になっているのも、研究分担者で英米法に精通した立教大学法学部准教授の溜箭氏の協力があってこそなしえたことであり、今後も密接な連絡を取りつつ、共同して加権プロジェクトの目的達成にまい進してゆく所存である。 研究代表者は、昨年10月にイギリス、ランカスター大学のジェフリー・リーチ名誉教授を、11月にはイギリス、バーミンガム大学のスーザン・ハンストン教授を立教に招き、BNCプロジェクトあるいはコービルドプロジェクト等の研究成果を講義してもらい、直接助言も受けることができた。それが本研究の進展に大きく寄与し、当初の計画以上に本研究が進んでいる大きな要因の一つであることは間違いない。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、司法英語の専門用語がどのような文構造の中で実際使用されているのかを中心に調査研究を進め、英米で法律の勉強を志している日本人の大学生、大学院生、若手研究者が実際にどのようにして司法の専門用語を司法英語のディスコースの中で使いこなしてゆけばいいのかを、コーパス言語学の研究方法を用いて量的、質的に分析をし、その分析結果を公表してゆくつもりである。英語コーパス学会、国際応用言語学会、などに発表を申し込む予定であり、夏にはコーパス言語学の著名な研究者であるドイツ、フライブルグ大学のクリスチャン・マイヤー教授、アメリカ、北アリゾナ大学のダグラス・バイバー教授、ウイリアム・グラーベ副学長、フレデリカ・ストーラー教授らに会い、今後の本プロジェクトへの助言を頂くとともに、協力を要請する予定である。 本年6月には、イギリス、リバプール大学副学長のマイケル・ホイ教授を立教大学に招き、連続4回の公開講演会を開催し、司法英語の辞書編集について助言を得る予定である。
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