2011 Fiscal Year Annual Research Report
プトレマイオス朝エジプトにおける文化変容の統合的研究
Project/Area Number |
23320127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
周藤 芳幸 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (70252202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 杉彦 明倫短期大学, 歯科衛生士学科, 准教授 (00211772)
中野 智章 中部大学, 国際関係学部, 准教授 (90469627)
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Keywords | 文化変容 / ヘレニズム / 東地中海 / エジプト / プトレマイオス朝 / 採石場 / グラフィティ |
Research Abstract |
本研究の内容は、これまで東地中海文化交流史の一環としてエジプトを舞台に行ってきた考古学的な研究の蓄積を踏まえて、エジプト学の専門家の協力を仰ぎながら、プトレマイオス朝研究を国際的な視野から発展させるものである。その初年度にあたる平成24年度は、言語選択の問題に関心を絞って、中エジプトのニューメニア古代採石場のグラフィティ調査を行い、貴重なデータを収集することができた。この成果の一端については、2011年10月13日に、イェール大学古典学部で行われたコロキアム「ヘレニズム時代の考古学:現在の状況と将来への展望」において報告を行った。このコロキアムでは、エジプト東部砂漠の調査を行っているアメリカのジェニファー・ゲイツ=フォスター氏、ベルシャで末期王朝時代の採石場のグラフィティを調査・研究しているベルギーのマーク・ドゥポー氏なども報告を行い、相互の意見交換を通じて、本研究の意義を再確認するとともに、その成果の国際的な共有に向けての一歩を踏み出すことができた。この報告内容については、英語論文としても公刊している。なお、年度当初からエジプトの政治情勢はきわめて流動的であり、治安面を考慮して、調査補助の学生の帯同を見送ったために、研究費の一部を翌年度に繰り越した。幸い、中エジプトでは治安状況の改善が見られたため、繰り越した研究費にかかる調査は、平成25年度に予定通り遂行することができた。また、年度末には公開研究会を開催し、本研究の成果をエジプト学研究者にも公開することにより、エジプト学の視点から様々な示唆を得ることができたことは、今後の研究の進展に向けて重要な礎となるものと判断される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地の流動的な政治情勢にもかかわらず、短期間ながらエジプトにおける現地調査を遂行すると同時に、イェール大学古典学部のコロキアムにおいて、研究成果の一端を国際的なアカデミアに向けて発信することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
イェール大学で意見交換を行った研究者との交流を維持しつつ、エジプトでの現地調査とギリシアでの史料収集を継続することにより、言語選択の面のみならず、エスニシティの問題、物質文化の変化の問題を順次検討し、プトレマイオス朝エジプト史の研究を国際的な視野から推進する。
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