2011 Fiscal Year Annual Research Report
日韓古代人骨の分析化学・年代学的研究と三国時代の実年代
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23320173
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
藤尾 慎一郎 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (30190010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 貫太 国立歴史民族博物館, 研究部, 准教授 (60379815)
山田 康弘 国立歴史民族博物館, 研究部, 准教授 (40264270)
坂本 稔 国立歴史民族博物館, 研究部, 准教授 (60270401)
齋藤 努 国立歴史民族博物館, 研究部, 教授 (50205663)
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Keywords | 礼安里古墳群 / 三国時代 / 炭素14年代測定 / 炭素同位体比 / 海洋リザーバー効果 |
Research Abstract |
1 平成23年度は,韓国慶南礼安里古墳群出土人骨34点と土器付着炭化物1点の年代測定と同位体比分析を行い,3月24日(土)に釜山大学校人文大学で行われた第99回釜山考古学研究会で,測定結果を報告した。 2 礼安里古墳群は,4世紀から6世紀にわたって古墳が造営され,年代測定が可能な遺存状況の優れた人骨が多数出土している。遺体は追葬が不可能な石室に葬られているので,死亡時と古墳の年代は一致する。よって人骨の炭素14年代は,古墳が作られた年代を反映するとみることができる。 3 測定した炭素14年代と古墳の築造年代は,造られた年代が新しくなるほど人骨の年代も新しくなるなど,出土人骨と古墳との相対的な関係はほぼ整合的であることがわかった。ただ,築造年代が新しくなるにつれて,若干の乱れが見られた。乱れの原因としては,後世の試料が混入した可能性と,海洋リザーバー効果の影響が考えられるが,コラーゲンの安定同位体比をみるかぎり,海産物を特に多く摂取していたという傾向は認められず,海洋リザーバー効果による影響は少ないと考えられる。 4 今回の測定結果では,日本の古墳研究者に多い年代観と,釜山大学の研究者の年代観の中間に位置しているため,礼安里古墳群だけの測定結果では,日韓の古墳時代の年代のズレを調整することはできない。2年目に更に測定例を増やして,共通の年代観の構築を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
礼安里古墳群の人骨34点,土器付着炭化物1点の分析科学・年代学的調査を実施し,初年度に予定してた礼安里古墳群出土人骨の測定はすべて終了することができた。測定結果は,日韓の年代観のズレのちょうど中間を示すことがわかった。ただし,胎土分析や考古学的な調査については,上記に予算を集中的に投下したため,達成することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,釜山市立博物館,(財)嶺南文化財研究院,(財)東亜細亜文化財研究院など,釜山大学校博物館以外の機関が所蔵している人骨,ウルシ,土器付着炭化物などの分析科学・年代学的調査をおこない,さらに測定数を増やす計画で,すでに関係機関との了承も得ている。 23年度,実施できなかった胎土分析や考古学的な資料調査を実施する計画である。
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Research Products
(4 results)