2012 Fiscal Year Annual Research Report
千島列島における先史文化の考古学的基礎研究―特に北方四島を中心に―
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23320174
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
右代 啓視 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (30213416)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 北方四島 / 北方文化 / 旧石器文化 / 縄文文化 / 続縄文文化 / オホーツク文化 / 擦文文化 / アイヌ文化 |
Research Abstract |
①北方四島のフィールド調査/色丹島・国後島の遺跡調査:色丹島の北部と国後島の中部の調査を実施した。色丹島では、穴澗、斜古丹、チボイで、遺跡踏査を行ない、8つの遺跡を確認した。国後島中部域では、古釜、ニキショロで遺踏査を実施した。特筆すべき調査成果として、色丹島の調査は戦後初めての学術的調査で、縄文時代前期の温根沼式土器の拡がり、チボイチャシ、千島アイヌの居住地跡などを確認した。 ②国内の千島列島考古資料・遺跡情報調査/大学・博物館所蔵資料調査:国立民族学博物館、函館市博物館、釧路市立博物館、アイヌ民族博物館などの千島関係の所蔵資料調査を実施した。また、北方四島在住者の聞き取り調査を実施した。 ③国外の千島列島考古資料・遺跡情報調査/サハリン調査:前年、実施できなかったサハリン調査を実施した。サハリン州郷土博物館には、想像以上に千島列島の考古資料が収集・保管してあり、今後、継続的な調査が必要であることを認識した。 ④研究成果の普及/研究会・報告会の開催:研究会・報告会などで調査・研究成果を報告した。北方四島の学術専門家交流に際しては、記者会見などを開き研究の成果報告を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の計画とおり、①北方四島のフィールド調査、②国内の千島列島考古資料・遺跡情報調査、③国外の千島列島考古資料・遺跡情報調査、④研究成果の普及など、順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
北方四島の現地調査については、内閣府、外務省と連携をとりながら、ビザなし交流の枠内で専門家研究交流の歴史文化研究班として実施することとなっている。また、受け入れ先の古釜布郷土博物館、ロシア行政府クリルセンターと連携を取りながら研究を推進する方策をとっている。さらに、今回のサハリン調査では、サハリン州郷土博物館に北方四島を中心とする千島列島の考古資料の収蔵状況を把握した。今後、計画的に調査をしなければならない状況となった。
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