2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23320175
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Research Institution | The Niigata Prefectural Museum Of History |
Principal Investigator |
西田 泰民 新潟県立歴史博物館, 学芸課, 研究員 (80172667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮尾 亨 新潟県立歴史博物館, 学芸課, 研究員 (90245655)
渋谷 綾子 広島大学, 総合博物館, 学芸職員 (80593657)
吉田 邦夫 東京大学, 総合博物館, 教授 (10272527)
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Keywords | 古食性 / 安定同位体分析 / デンプン分析 |
Research Abstract |
分析試料のサンプリングは考古遺物については新潟県青田遺跡出土品、民族資料では天理大学参考館所蔵パプアニューギニア収集土器について行った。国立民族学博物館でも所蔵品の調査を行ったが、サンプリングできる資料が少なく、かつ採集時のデータが不十分なため、分析には不適と判断した。 GC質量分析、GC安定同位体質量分析は調理実験土器を用いて、イギリス・ヨーク大学およびブラッドフォード大学にて研究協力者クレイグ博士、ヘロン博士が行い、脂質および安定同位体比に関する基礎データを得た。日本産の動植物について各種としての安定同位体比はデータがあるが、脂質単独のデータはまだ整備されておらず、今後こうしたデータの蓄積が古食性研究のために重要な意義をもつ。なお、十分な抽出量が得られなかった個体があったのは、土器の製作時の調整または調理方法に起因すると考えられる。残存デンプン分析は共同研究員渋谷博士が民族資料を中心に行った結果、サゴヤシデンプンを検出した。調理時の加熱を経ても、デンプン粒が残存していることを民族資料で確認できたことはこの方法の応用範囲をひろげるものであり、意義がある。 国立民族学博物館および日台交流センター図書室にて、オセアニア、台湾先住民の儀礼食に関する民族誌調査を行った。 分析結果の協議のためイギリスの研究協力者を招聘した機会をとらえ、東京大学にて開催中の展覧会にかかわる講演会として、"What good is a sooted pot?"を3月31日に開催し、研究者および一般聴講者に方法の概要とヨーロッパにおける成果、ユーラシア全体の土器文化にこれを応用することの意義を解説した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調理実験土器と縄文土器からのサンプルを英国の研究協力者へ送付し、分析結果を得ることができた。また、国内でのサンプリングも、縄文土器、民族資料土器双方について進めることができ、炭化物中にデンプン粒が残存していることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、考古資料のサンプリングを東日本の低湿地遺跡出土品を中心に行い、民族資料は南魚沼市今泉博物館でニューギニア採集土器を中心とする。 海獣、海生魚類と陸獣の安定同位体、脂質のデータから考古遺物の解釈に必要なダイアグラムを作成する。残存デンプン分析に必要なデータ集積と公開を行う。
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Research Products
(3 results)