2012 Fiscal Year Annual Research Report
現代チベット社会における超域的連携の形成と伝統文化・アイデンティティの維持
Project/Area Number |
23320188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
煎本 孝 北海道大学, -, 名誉教授 (50124227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 孝子 京都大学, -, 名誉教授 (20293839)
上原 周子 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (50570008)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | チベット / 現代社会 / 超域的連携 / 伝統文化 / アイデンティティ |
Research Abstract |
1959年のダライ・ラマのインドへの亡命以来、現在までに10万人を超えるチベット難民がインド、スイス、アメリカ合衆国における世界の3大難民コミュニティを中心に生活している。しかし、1978年以降、中国における改革開放政策の実施により、チベットの各地域社会と難民社会とは、さまざまな伝達手段を通じて、人や情報の疎通が行われるようになっている。本研究計画は、現代チベット社会におけるさまざまな伝統文化・アイデンティティの形成と維持のメカニズムを解明するという全体構想のもと、その基盤の一つとなる中国領チベットと世界各地に点在する難民社会とを結ぶ超域的連携の形成とそれに係わる伝統文化・アイデンティティの動態を、インド、欧米のチベット難民社会、欧米に設立されたチベット仏教センター、そして中国領チベット地域社会との関係に着目しながら、フィールドワークに基づき文化人類学的視点から科学的、実証的に明らかにすることを目的とするものである。 平成24年度においては、研究代表者(北海道大学、煎本孝)は、アメリカ合衆国、ニューヨークのゲルク派仏教センターを中心とする超域的連携の形成に関して、平成24年7月に集中的フィールド調査を行った。研究分担者(京都大学、山田孝子)は、アメリカ合衆国、ニューヨークのチベット難民コミュニティにおける超域的連携の形成に関して、平成24年7月に集中的フィールド調査を実施した。研究分担者(北海道大学、上原周子)は、青海省海東地区における僧院とチベット社会における超域的連携の形成に関して、平成24年12月に集中的フィールド調査を実施した。これらの調査研究にもとづいた資料整理、分析の結果、各国のチベット仏教センター、チベット難民コミュニティ、および中国領チベット地域社会の間に、宗教、言語教育などを通した超域的連携が形成されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、および研究分担者によるフィールド調査は滞りなく実施され、研究目的に則した科学的、実証的データに基づく知見が得られたものと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については、当初の研究実施計画に沿ったフィールド・データの収集、整理、分析を行い、同時に文献資料の分析も行うことにしている。
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