2012 Fiscal Year Annual Research Report
韓国社会の生き方に関する人類学的研究:グローバル化する競争社会における折衝と離脱
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23320190
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 洋 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (50262093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秀村 研二 明星大学, 人文学部, 教授 (60218724)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 韓国 / 主流社会 / オルターナティヴ / 生き方 / 教育 / キリスト教 / 移住 / コミュニティ |
Research Abstract |
本研究は,韓国社会で暮らす人たちが,主流社会との関係で自らの生活のスタイル(生き方)をいかに構築しているのかを,民族誌的研究を通じて実証的に究明するものである。ここでいう「主流社会」は,都市中産層(特にアッパーミドル)を仮構的な模範とする富と社会ステータスの追求によって特徴づけられるが,主流的な生き方の構築と再生産において特に重視されるのが教育である。これについては分担者の仲川が,英語教育熱と海外早期留学を中心に調査研究を進めているが,当該年度は在外研究のため1年間のみ分担者からはずれ,代わりに協力者1名が主流/非主流の両面から英語教育に対する意識を調査した。また,韓国の産業化過程で急成長したプロテスタント系諸教会が中産層にとっては富をステータスへと転化するひとつの装置となっている点,教会の成長が停滞し教会間の信者獲得競争が激化する一方で中産層の一部にカトリックの人気が高まりつつある点について,分担者の秀村が実地調査を進めた。代表者の本田は,主流社会志向に逆行する移動の形態として都市から農村への移住に着目した。新自由主義的な富・ステータス競争の激化が進む1990年代半ば以後の韓国社会で「帰農」と名付けられた都市から農村への移住とオルターナティヴな生き方の追求は,元来,韓国的「新しい社会運動」の脈絡で展開したものであったが,近年は中産層を始めとする都市居住者のなかでの認知度も高まりつつある。これについて本田は,帰農以前の生活経験と帰農・移住経緯のスペクトラム,ならびに帰農生活と共同体運動との関係に焦点を合わせて調査分析を行った。当該年度の成果として,主流/非主流的生き方の構築と再生産の複合的な様相を解明したことに加え,生き方が構築される実践としてのコミュニティ・共同性についても検討を進めた。成果の一部に基づき韓国文化人類学会で分科会を組織し,現地研究者の意見も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画のうち,連携研究者が担当する韓国系海外移民の調査のみ実現が難しくなったが,研究代表者・分担者の担当分は順調に進行しており,また海外移民の実態についても,分担者の一人が資料収集を進めている。代表者・分担者間で随時意見交換を行っているだけでなく,韓国文化人類学会での分科会の組織等,現地研究者との交流も活発に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画を遂行するとともに,研究協力者による関連テーマの調査研究も併行して行なう。
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Research Products
(4 results)