2013 Fiscal Year Annual Research Report
韓国社会の生き方に関する人類学的研究:グローバル化する競争社会における折衝と離脱
Project/Area Number |
23320190
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 洋 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (50262093)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秀村 研二 明星大学, 人文学部, 教授 (60218724)
仲川 裕里 専修大学, 経済学部, 教授 (10311250)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 文化人類学 / 韓国 / 生き方 / ステータス / グローバル化 |
Research Abstract |
研究代表者と研究分担者は,各自,分担課題を実施した:(1) 本田は,a) 南西部山内・南原地域での2回の調査による帰農・帰村事例のさらなる収集(事業的営農,自宅勤務,活動家としての経験の蓄積,農村での市民運動の展開等)とコミュニティ・共同性の形成についての実態調査(特に拠点空間や地域メディアの形成,行政公募事業の活用),b) コミュニティ・共同性の生成と再生産の諸条件についての民族誌的諸事例の比較検討(住民の社会文化的均質性に基づく在来型コミュニティのスペクトラム,社会文化的異質性が増しつつある状況における参与と場所の構築の重要性,両者に共通する広義の生活上の必要性等)を行った。(2) 秀村は,ソウル・近郊のキリスト教会で,韓国社会のグローバル化とネオリベラリズムの浸透する状況下での信者の属性と信仰実践の変化に対する教団ならびに個別教会の対応についての現地調査を実施した。特にプロテスタント教会における異端活動への対処,ならびに近年信者数を増やしているカトリック教会の基礎的な動向についての資料収集を重点的に行った。(3) 仲川は,a) 前年度までに韓国・カナダで実施した韓国人の海外早期留学とトランスナショナル家族についての調査データの整理分析,b) 英語能力の獲得,社会移動,グローバリゼーション,ならびに家族の再生産の相互連関についての理論的検討を行った。(4) 研究協力者(3名)は,韓国社会における多言語能力の獲得と社会上昇,ならびに社会的生存の関係の考察と関連して,それぞれ早期英語教育,日本語能力の獲得とキャリア形成,マイノリティの韓国語教育についての資料収集を担当した。 また,連携研究者を交えた研究打ち合わせで中間総括を行い,本研究の各課題を韓国社会のグローバル化による生き方の再構築という枠組みで分析することの有効性を確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究実施計画のうち,中間総括を目的とした小規模ワークショップの実施と研究協力者1名による地方社会における福祉と起業に関する調査・資料収集の実施が困難となったが,前者に関しては,年度途中に実施した研究打ち合わせで中間総括を行い,後者については,韓国社会における多言語能力の獲得と社会上昇,ならびに社会的生存の関係の考察と関連した資料収集を多方面から行うことによって,より整合性の高い共同研究の実施が可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度までの調査資料の整理分析を進めるとともに,本田は住民構成の社会文化的異質性が高まりつつある地域社会における互助・共同的関係性の形成と共同性の生成の実態について,秀村はカトリック教会について,仲川は韓国国内での早期英語教育の環境整備について更なる調査を進め,研究協力者が収集した資料もあわせて総合・総括することで,当該研究課題についての民族誌的研究の蓄積と理論的展望の提示が可能となると予測される。
|
Research Products
(5 results)