2012 Fiscal Year Annual Research Report
在日・在中アフリカ人の生活戦略と日中アフリカ関係の都市人類学的研究
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23320192
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
和崎 春日 中部大学, 国際関係学部, 教授 (40230940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 和明 立教大学, 文学部, 教授 (10257157)
田中 重好 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50155131)
松本 尚之 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (80361054)
渡邊 欣雄 國學院大學, 文学部, 教授 (90103209)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アフリカ / 多民族共生 / 移民 / 外国人労働者 / 都市人類学 / 公共性 / 中国 / ネットワーク |
Research Abstract |
日本と中国におけるアフリカ人の生活動態を調査・研究した。特にアフリカ人が集住する広州市で調査を行った。ここでは、以前も共同研究を行った広州・中山大学の王緯准教授とともに今回も資料交換を行って広州調査のアドバイスを受けつつ、中山大学前人類学教授で現蘭州大学教授の王建新研究室の大学院生Mark黄氏と共同で広州市アフリカ人街の調査行った。またここで、伊藤正晃助教は、在中国アフリカ人の中国語運用能力について観察・録音調査を行ってアフリカ人の中国への浸透度を考察した。 同じ中国における日中アフリカ関係の調査では、分担者・渡邊欣雄が在華日本人の動態調査を行って成果もすでに報告している。また、連携研究者の奈倉京子が和階社会という共生のキーワードを軸に多民族の共生状況を中国で調査し、その成果を出した。このなかで代表者・和崎春日も「アフリカへの中国性」を焦点に奈倉との成果交換を行いその成果を発表しつつ共同研究を前進させた。 また、公共性というキーワードで日中両社会で長年研究を行ってきた田中重好は、アフリカ人・華人・日本人を含む多民族の交流を包摂した公共性について理論的な考察を世に問うている。しかも、これを中国の出版社から上梓した(Social Science Academic Press,china)。アフリカでは、代表者・和崎がケニア・タンザニアでの日本と関わりあるタンザニア人の日本との交流実態の追跡調査を行った。さらに、三島禎子は、アジアからの荷物の発送を受け取るコンゴでのソニンケ人の活動を調査した。日本においても東京・名古屋・関西地域のアフリカ人の生活動態を調査・研究できたが、九州でのアフリカ人との協力状況を詳細に調査・研究できた。 こうした研究成果を、2回の共同研究会をもつ形でその交換と蓄積を促し、共同研究を促進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、分担者であれ連携研究者であれ研究協力者であれ、共同研究の各班員が堅実な研究発表を示した。共同テーマに関わる本の形の出版物も、研究代表者(和崎)と研究分担者(田中)により、2冊刊行できた。論文は、個別の地域やテーマを扱うものを5編、理論的な多民族共生や公共性を扱うものを2編、口頭発表を3編、世に問うことが出来た。代表・和崎春日、分担者の田中重好、渡邊欣雄、松本尚之、栗田和明、協力者の奈倉京子と、共同研究に関わる全員が着実な公表をおこなった。結果として、アウトプットとしての論考を多数世に問うことができた。 また、実際の調査に関わって、在日アフリカ人や日本に関わるアフリカ人の母村調査では、今まで多かった中西部アフリカだけではなく、ケニア・タンザニアの東アフリカにも展開して調査研究できたことは、確かな研究の進展として位置づけてよいだろう。 また、在中アフリカ人の調査研究が3人の班員によって違った視点・方向から多面的に推進できたことも、一つの確かな前進であった。在日アフリカ人の調査では、東京・名古屋・関西だけでなく、九州において精力的なアフリカ日本の交流状況があることをフォローして、これを追跡調査できた。このことも、新たな展開・突破として位置づけ、これらの本年度までの蓄積を総じて今後の共同研究の発展に活かしていきたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は、最終年度なので、日中アフリカにおけるこのトライアングル関係の調査研究を一層推進するとともに、研究会による研究情報の交換・蓄積・集約とその後の出版等の発信を意欲的に行いたい。 アフリカと日中の交流の焦点となっている中国広州の調査・研究を精力的に行い、中国におけるアフリカ人の生活動態をまとめる。そのため、研究協力者・奈倉京子を今年も加える。さらに、アフリカ人の中国語使用調査に伊藤正晃、アフリカ人の中国文化理解調査に和田知久とウ小薇、アフリカ人の英語文化理解調査に伊藤裕子など、中国研究者を多く研究協力者として組織する。さらに、中国広州での共同研究を発展させるべく、広州イスラーム研究の専門家・王建新とその大学院生・黄を研究協力者として組織する。また、近年アジア全域に拡大するアフリカ人の広いネットワークを検証するべく、ドバイ、東南アジア(ベトナム、タイなど),中央アジア(協力者:和崎聖日京都大学研究員)等でのアフリカ人の動態を追跡したい。そのため、東南アジア研究の専門家を研究協力者として組織する(多治見看護学校講師・長坂康代)。 アフリカでは、西アフリカのフランス語圏出身者のディアスポラ状況の調査では、これまでギニア人の調査が蓄積できたところがあるので、今年は、セネガル人・ソニンケ人の世界をかける広域の生活ネットワークの調査を行う。在日アフリカ人の動態研究については、松本尚之の分担に加え、日野舜也名誉教授を研究協力者として組織して強化する。在日アフリカ人の母村調査では、カメルーン、ナイジェリアやケニア・タンザニアでの研究を一層深めたい。 こうして、諸成果を共同研究会に持ち寄り交錯させ蓄積して、学会発表や出版物の形で成果を世に問うていきたい。
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[Book] 春風社2012
Author(s)
和崎春日
Total Pages
86
Publisher
アフリカに暮らして-ガーナ、カメルーンの人と日常