2012 Fiscal Year Annual Research Report
近世及び近代の日本における「領域」・「国境」概念に関する統合的研究
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23330016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳原 正治 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60143731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 欽司 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (00288242)
深町 朋子 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (30310014)
韓 相煕 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30380653)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 領域 / 無主地 / 琉球処分 |
Research Abstract |
本年度は、幕末期から明治初期の、日本の「領域」確定・「国境」画定がどのようなかたちで行われたかの本格的な検討を開始した。具体的な検討課題としては、(1)日魯通交条約、(2)蝦夷地の編入、(3)樺太、(4)琉球処分、(5)島嶼の無主地先占(小笠原諸島、尖閣諸島など)、(6)竹島、の6件である。 (1)日魯通交条約、(2)蝦夷地の編入、(3)樺太の3つの課題は、ロシアとの関係でどのように「国境」が画定されたのかという点が最も重要なポイントである。とりわけ、通交条約の後の、慶応3(1867)年2月25日の日露間樺太島仮規則、さらには、明治6(1873)年9月6日の日露樺太雑居条約をどのように解するかが重要な論点であることが再確認された。 幕末期以降、琉球の地位をどのようにとらえるかは、西洋諸国との関係のなかでも、はなはだ大きな課題として日本側が対応を求められた。この問題は明治初期になって、日本が近代ヨーロッパ国際法の概念に則って「領域」確定(「国境」画定)していくなかで、いっそう重大な問題として浮上することになった。この過程で、1850年代の琉球王国の条約をどのように扱うかが理論的にも実践的にも大きな問題として浮上することになった。それは、琉球王国の「両属」を近代ヨーロッパ国際法の観点からはどのように理解できるかという論点も含むものであった。これらの条約についての、現在の日本政府の説明ぶりはけっして歴史を十分に反映したものではないことが指摘された。 無主地先占については、竹島は、現在の日本政府の見解によれば、こうした島嶼先占の事例とはみなされていないことが改めて問題とされた。こうした無主地先占の例としての島嶼先占と竹島の扱いとの違いがどのように生まれているのかを探っていくことは、明治政府の無主地先占理論のとらえ方、ひいては、領域観の検討をももたらすことになることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した事項すべてについて((1)日魯通交条約、(2)蝦夷地の編入、(3)樺太、(4)琉球処分、(5)島嶼の無主地先占(小笠原諸島、尖閣諸島など)、(6)竹島)、それぞれに研究の進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度については、本年度の研究の成果を生かし、それぞれに今後の研究課題とされた点を中心として研究を進めていきたい。中華人民共和国・清華大学チーム(代表者・Lu Xiaojie教授)、香港・香港大学チーム(代表者・Anthony Carty教授)、香港城市大学チーム(代表者・林学忠教授)、そして大韓民国・翰林大学校翰林科学院チーム(代表者・Kim Yongkoo教授)との協力関係は可能な限り図っていきたい。
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