2013 Fiscal Year Annual Research Report
近世及び近代の日本における「領域」・「国境」概念に関する統合的研究
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23330016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳原 正治 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60143731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 欽司 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (00288242)
深町 朋子 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (30310014)
韓 相煕 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30380653)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国家領域 / 琉球処分 / 無主地先占 / 竹島 / 樺太・蝦夷 |
Research Abstract |
本年度は、幕末期から明治初期の、日本の「領域」確定・「国境」画定がどのようなかたちで行われたかの本格的な検討を、前年度に引き続き継続して行った。具体的な検討課題としては、(1)日魯通交条約、(2)蝦夷地の編入、(3)樺太、(4)琉球処分、(5)島嶼の無主地先占(小笠原諸島、尖閣諸島など)、(6)竹島、の6件である。 このなかで、全課題を通じてとくに論点として重要とみて研究を進めたのが、「固有領土」論である。わが国が北方領土のみならず、最近では竹島や尖閣諸島についても主張している理論である。また、近年、韓国や中華人民共和国も、それぞれ独島、釣魚島について主張するようになってきている。この理論については、「我が国民が父祖伝来の地として受け継いできたもので、いまだかつて一度も外国の領土となったことがない」ことを主張するものととらえるか(北方領土の例)、「韓国側からは、我が国が竹島を実効的に支配し、領有権を確立した以前に、韓国が同島を実効的に支配していたことを示す明確な根拠は提示されて」おらず、「遅くとも江戸時代初期にあたる17世紀半ばには、竹島の領有権を確立し」たことを主張するものととらえるか(竹島の例)という点で、力点の置かれ方に相違がみられることが、明らかにされた。ただ、この理論が、日本が19世紀中葉に近代国際法を受容し、その領域論に従って領域を確定する以前に「領有権」が確立していたと主張するものであるとすれば、近代ヨーロッパ国際法上の「領有権」、「領域主権」、「国境」などの諸概念を、他の時代、他の地域にストレートに持ち込んでいいかということがただちに問題となることもまた、指摘された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的な検討課題である、(1)日魯通交条約、(2)蝦夷地の編入、(3)樺太、(4)琉球処分、(5)島嶼の無主地先占(小笠原諸島、尖閣諸島など)、(6)竹島、の6件それぞれについて、若干の濃淡はあるものの、本年度計画していた研究目的は達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度が本研究の最終年度にあたるため、具体的な検討課題である、(1)日魯通交条約、(2)蝦夷地の編入、(3)樺太、(4)琉球処分、(5)島嶼の無主地先占(小笠原諸島、尖閣諸島など)、(6)竹島の6件それぞれについて、いっそうの深掘りの研究を遂行し、近世日本「国家」はどのようにして、「近代的領域国家」へと再編成されていったかについての全体像を明らかにしたい。
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Research Products
(9 results)