2012 Fiscal Year Annual Research Report
学部課程法学教育の社会的機能と指導理念に関する法史学的・法理論的総合研究
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23330032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 智良 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90258195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 竜一 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00257958)
栗原 麻子 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (00289125)
福井 康太 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00302282)
中尾 敏充 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30155668)
三阪 佳弘 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (30219612)
三成 賢次 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90181932)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 法学部 / 高等教育 / 法曹養成 / 教育社会学 / 知識社会学 |
Research Abstract |
今年度は中尾敏充班員による日本近代高等教育関連の研究発表を得て日本における法学部教育の揺籃期についての理解を深め、共有した。 そのほか、次の調査旅行で得られた知見が重要である。2012年10月30日ー11月3日の日程で中華民国を訪問し、訪問順に国立中正大学、国立台湾大学、中華民国教育部(日本国の文部科学省に相当)、国立政治大学において聞き取りと意見交換を行った。その結果、上記諸大学での法学部教育がマス教育よりは、法曹を含めたコア・エリートの教育に焦点を合わせていることが明らかになった。また、教育部での聞き取りでは、中華民国において法科大学院制度を採用しなかった際の政策決定過程も含めて、率直な意見交換を果たすことができた。その結果、旧来の学部レベルを中心とする法学教育と、法学部生を主として司法試験により選抜される法曹候補という選抜システムとが中華民国において一定の水準を保ちつつ有効に機能していることが確認された。 日本における法学部教育の始まりという点では、ローマ法教育に特化しているものの、代表者(林)によるオックスフォード大学キャサリン・コレッジでの口頭発表(第66回国際古代法史学会SIHDA)も重要な成果である。これは、東京開成学校(現在の東京大学)で初めてローマ法を講義したW.E.グリグズビーの活動を原史料に即して跡づけたもので、彼の受講生であった穗積陳重らのその後の活躍も含めて、日本での法学部教育の特質形成を視野に入れた発表であり、聴衆から一定の評価を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際レベルでの意見交換を率直に行い、日本の法学教育に関する知見の共有も順調になされているため。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度には国際シンポジウムを開催して、今年度まで蓄積した知見の総合化をはかる。あわせて、日本の法学部に関する基礎データ(カリキュラム、アドミッションポリシー他)の整理を進める。
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Research Products
(9 results)