2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330047
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
梅森 直之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80213502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 礼子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00275504)
井川 充雄 立教大学, 社会学部, 教授 (00283333)
川岸 令和 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10224742)
山本 武利 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (30098412)
加藤 哲郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30115547)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メディア / 宣伝 / プロパガンダ / 心理戦 / 世論 / 広報 / 諜報 / 反共 |
Research Abstract |
二年目である今年度は、研究メンバーは引き続き、検閲およびインテリジェンスどちらかに軸足を置いた研究調査を継続して進めた。夏期および冬期の休暇には、各自米国国立公文書館、米国議会図書館、スタンフォード大学フーバー文書館、上海図書館、モスクワ公文書館などで資料調査を行った。 研究成果については、早稲田大学20世紀メディア研究会と合同で、研究分担者またゲストスピーカーによる公開の研究報告を行った。四月には牧義之氏による国会図書館所蔵の検閲原本に関する報告、五月には山本武利(研究分担者)が陸軍中野学校創立記の資料に関して、島田顕氏がモスクワ放送関係資料について報告を行った。六月にはナンシー・スノウ氏による米国のプロパガンダに関する報告、九月には加藤哲郎(研究分担者)が米軍資料に基づき「日本の原発導入と中曽根康弘の役割」を報告した。十一月には安野一之氏が内務省の検閲官について報告し、一月には有馬哲夫氏が「インテリジェンス工作員としての児玉誉士夫」を報告した。また三月には志村三代子氏が冷戦期の日米合作映画について報告した。 また、他の研究プロジェクトとの協力により国際的な研究集会として、モイシェ・ポストン氏を招いて東アジアにおけるマルクス主義を論ずるシンポジウムを東京と京都で開催した。これには大澤真幸、的場昭弘、ヴィレン・ムーティーなどの各氏をコメンテーターとして招き、占領期および冷戦期のアジアにおける共産主義と反共政策を討議した。 以上のような資料調査と研究報告を通じ、占領期日本の情報空間は、米国のみならず台湾、朝鮮、中国、ロシア、英国といったアジア各国との関係の中で考察されるべきであり、検閲もメディア政策、インテリジェンス活動との関係で考察されなければならないことを、成果の一つである加藤哲郎・井川充雄(両者とも研究分担者)編『原子力と冷戦』では明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクト・メンバー各自の研究はそれぞれに進展しており、毎月の研究会において報告が行われ、また国際的な研究集会も一回実施し、研究分担者の共編による図書一冊を出版、『Intelligence』をはじめとした刊行物にその成果が発表され、占領期の検閲とインテリジェンスに関する新たな側面が、次々と明らかにされつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
次は最終年度であるが、基本的に初年度と同じく、プロジェクト・メンバー各自が検閲及びインテリジェンスどちらかに軸足を置きながら、資料調査と分析を進め、ほぼ毎月開催する研究会で報告していく。その上で、最終年度にふさわしい検閲とインテリジェンスに関する国際的な研究集会を七月開催し、東アジアにおける米国の占領政策及び情報文化戦略の長期的な射程を継続して検討し、その成果をまとめて刊行物として発表する予定である。
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Research Products
(21 results)