2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330047
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
梅森 直之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80213502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 礼子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00275504)
井川 充雄 立教大学, 社会学部, 教授 (00283333)
川岸 令和 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10224742)
山本 武利 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (30098412)
加藤 哲郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30115547)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メディア / 宣伝 / CCD / 心理戦 / 世論 / プロパガンダ / 諜報 / 反共 |
Research Abstract |
三年目である今年度は、二つの国際シンポジウムにて成果報告を行った。まず、2013年7月20-21日には、本科研費により国際シンポジウム「日本と東アジアの検閲史再考」“Reconsidering Censorship History in Japan and East Asia”を、早稲田大学で開催した。山本武利(研究分担者)が「多重的ブラック化装置の中の占領期検閲」、小林聡明(研究協力者)が「韓国における通信検閲体制の歴史的展開」を報告した他、海外からジョナサン・エイブル氏(米国)と何義麟(台湾)を招き、分野を横断した多元的な議論を展開できた。その内容は『Intelligence』14号の特集として発表した。 2013年9月14-17日には、上海師範大学で開催された「ゾルゲと上海情報戦国際フォーラム」に土屋礼子(研究分担者)山本武利(研究分担者)が参加し、加藤哲朗(研究分担者)が「国際情報戦としてのゾルゲ事件」を報告した。 この他に、早稲田大学20世紀メディア研究会と合同で、研究分担者及びゲストスピーカーによる公開の研究報告を行った。たとえば、2013年4月には川崎賢子が「GHQ占領政策と文楽」、同5月には土屋礼子(研究分担者)が「占領期の大学生新聞」をそれぞれ発表した。 また、山本武利(研究分担者)が発掘した占領期の検閲者名簿は、NHKの番組「クローズアップ現代:知られざる同胞監視」(2013年11月5日放映)で紹介され反響を呼んだ。さらに名簿をデータベース化し、インターネットで公開すべくウェブサイトの準備を進めた。 研究分担者は各自、以上の成果発表と並行して、米国国立公文書館、ロックフェラー財団アーカイブ、英国国立公文書館などで資料調査を行い、さらに占領期の検閲とインテリジェンスについて、戦前・戦中期、および冷戦期との関連を明確にしつつ、その実態を解明しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検閲をテーマとした国際シンポジウムを日本で開催し、日本及び台湾、朝鮮を含めた検閲研究を占領期だけでなく戦前戦中の検閲研究と結合し、国際的な議論の進展に寄与したこと、またそれを『Intelligence』14号の特集として刊行したことは、大きな成果である。また、発掘した占領期の検閲者名簿をデータベース化してウェブサイトを構築し、インターネットで公開する準備も進められた。一方、インテリジェンス研究においても「ゾルゲと上海情報戦国際フォーラム」に参加し、戦中から占領期さらに冷戦期に至るアジア規模でのインテリジェンス活動について、上海師範大学、愛知大学等の他大学の研究者と、議論を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度にあたるので、これまで進めてきた資料調査と分析に基づき、20世紀メディア研究会などで報告を重ねるとともに、それらの研究成果を、東アジアにおける情報文化政策というより広い視野における占領期の検閲及びインテリジェンス研究としてまとめ、書籍として刊行する方向で進める。 また、「検閲研究ウェブサイト」を開設し、発掘した検閲者名簿のデータベースを公開し、インターネット上で検閲研究の情報をより広範な人々と交換できるようにする予定である。
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