2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際ガバナンスにおける提携形成と制度設計の政治経済分析
Project/Area Number |
23330053
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 基史 京都大学, 公共政策大学院, 教授 (00278780)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 敬輔 東京大学, 法学政治学研究科, 教授 (00316895)
石田 淳 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90285081)
岡田 章 一橋大学, 経済学研究科, 教授 (90152298)
石黒 馨 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (20184509)
多湖 淳 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (80457035)
|
Keywords | 国際ガバナンス / 国際協調 / 国際制度 / 提携形成 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
国家はその意思で国際規範を受け入れ、国際ガバナンスを実現させるという説明にとどまらず、国家が国際規範を受容していく政治過程を解明することが本研究の課題である。国際ガバナンスの深層には、その規範体系にどの国が参加するのかという「提携形成」の問題と、参加国の間でどのような義務と権利を構築して、どのように配分するかという「制度設計」の問題が存在する。本研究は、具体的政策レジームにおいて提携形成と制度設計の関係を中心にしたガバナンスの実相を、政治学的手法と経済学的手法を通じて詳細に分析し、その改善策を探求するものである。 本研究を推進するに当たり、平成23年9月と24年3月に研究会を開催して、研究の進捗状況を確認し、問題点・改善点を明確にした。23年度分の具体的成果は、以下のようにまとめることができる。研究代表者の鈴木は、日本学術会議機関誌『学術の動向』(平成23年6月)に「仲間づくりの国際政治学」と題した特集を企画しつつ、その中で、2008年グローバル金融危機以降、国際ガバナンスの主要フォーラムとなりつつあるG20について論じた論稿を寄稿した。また、2012年に期限を迎える温暖化防止ガバナンスの実施条約である京都議定書の問題点とポスト京都議定書策定の課題を論じた論稿を京都大学法学研究科紀要『法学論叢』に寄稿した。分担者の石黒は、FTAに関わる提携形成と制度設計のジレンマ問題とその解決策を理論的・実証的に論じた著書と論文を公刊した。飯田は、国際経済法に関わる提携と制度を国際政治経済学の観点から分析した論文を国際経済法学会において報告した。岡田は、ランダムな提案からなる、提携形成に関わる取引についてゲーム理論分析を行った英語論文を公刊した。多湖は、同盟という提携に対する締約国の公約が、政党政治に代表される内政によってどのように左右されるかについて計量分析を施した英語論文を公刊した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目で研究成果が著書1点、学術誌論文5点、学会報告2点とあるように、本研究の理論的・実証的分析は順調に進展している。一方、本研究の中枢的成果として、代表者と分担者の執筆による論文を編著書としてまとめて平成24年度中に公刊する作業においても、草稿が完成し、最終稿に向けて順調に準備が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に収集された情報を基に、分析に用いられる政治学的モデルおよび経済学的モデルを構築し、モデルを用いた解析作業を進め、モデルから、経験的検証に用いられる仮説を導出する。構築された分析モデルの評価に関しては、両学問領域の研究者による最も活発な共同作業が予定される。モデルは、どの程度の現実対応性があるか、どの程度の汎用性があるのかなどについて、幅広く、丹念に議論する予定である。析出した仮説は、事例や数量データによって検証される。仮説が経験的データから大きく乖離する場合、仮説を析出した分析モデル自体に問題がある可能性があるため、モデルの修正を行い、もう一度、同様の手続きを繰り返す。
|
Research Products
(8 results)