2012 Fiscal Year Annual Research Report
国際ガバナンスにおける提携形成と制度設計の政治経済分析
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23330053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 基史 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00278780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 敬輔 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00316895)
石黒 馨 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20184509)
多湖 淳 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80457035)
岡田 章 一橋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90152298)
石田 淳 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90285081)
岩波 由香里 関西外国語大学短期大学部, その他部局等, 講師 (40635447)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際関係論 / 国際政治経済論 / 国際制度 / ゲーム理論 / ガバナンス / 国際紛争 / 外交 / 国際公共財 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国家がその意思で国際規範を受け入れ、国際ガバナンスを実現させるという説明にとどまらず、国家が国際規範を受容していく政治過程を解明することである。本研究を実施して2年が経過したが、国際ガバナンスの深層に存在する「提携形成」の問題と「制度設計」の問題が存在し、両問題は相互に影響を与え、ガバナンスを困難にしている点に鑑み、貿易、国際標準、平和維持・強制、非核という具体的政策レジームにおいて、提携形成と制度設計の関係を中心にした国際ガバナンスの実相を、政治学的手法と経済学的手法を通じて詳細に分析し、その改善策を探求してきた。 本研究の平成24年度の成果として、鈴木基史・岡田章編著『国際紛争と協調のゲーム』を有斐閣から25年3月30日に公刊した。同書の各章は、本研究計画に沿って本研究の代表者と分担者によって執筆された。各章は具体的な国際問題を採り上げ、ゲーム理論を適用しながら分析を進め、その核心を解明することを目指した。詳述すると、現代国際関係学で相克するリアリズムとリベラル制度論の対立軸のなかで、平和維持制度、紛争解決制度、同盟、会議外交、秘密外交、条約採択方式などという国際制度の深層の解明を目指した。その結果、制度は国々の期待や意思決定に影響を与えるため、制度を巧みに設計することによって対立を管理し、協調を促進できることを確認した一方、不確実性、取引費用、選好非対称性が閾値を超えて拡大すれば、制度は期待された効果を発揮できず、協調の失敗、対立の激化、紛争の放置を招くことも析出した。アナーキーが台頭し、権力闘争が国際関係の主要な特徴となれば、こうした国際関係を読み解く理論としてリアリズムの妥当性が増すが、リアリズムに対するリベラル制度論の相対的妥当性は、国々の選好の適度な非対称性に対する制度設計や情報管理の技巧に依るが、それにも限界があることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果として、最終年度の平成25年度に予定していた編著書の公刊は、本研究を効率的に実施できたため、平成24年度末に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現代の国際関係学では、複数の方法論が台頭し、特定の方法論の妥当性に関して幅広いコンセンサスがあるわけではない。したがって、ゲーム理論を適用して得られた分析結果が広く受け入れられるには、競合する概念を基盤とした他の理論や経験的証拠による厳しい検証に晒し、その信憑性を高めることが不可欠である。そのため、今年度の研究では、ゲーム理論を適用して得られた仮説を、事例分析や計量分析などによって検証することを目指す。その研究結果は論文としてまとめられ、本科研研究の年2回の研究会および国内外の学会などで報告され、学術雑誌などに投稿する予定である。
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Research Products
(10 results)