2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330060
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北川 章臣 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60262127)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 聰一 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60262838)
照山 博司 京都大学, 経済研究所, 教授 (30227532)
柴田 章久 京都大学, 経済研究所, 教授 (00216003)
|
Keywords | 関係指向性 / 市場指向性 / 長期取引関係 / 経済成長 / 構造変化 |
Research Abstract |
平成23年度の研究実績は次の通り。まず、研究課題に関連した理論・実証研究の現状を調査し、併せて利用可能な統計データにどのようなものがあるかを確認した。具体的には、「慶應義塾家計パネル調査」、「日本家計パネル調査」によって、非正規雇用形態と他の雇用形態、失業、非労働力との間の移行について調べるためのデータ整備を開始した。また、企業・労働者間の長期雇用契約が、企業の労働者採用に与える影響を実証的に考察するための準備を始めた。さらに、理論面では、労働者の意欲が効率賃金によって確保されるような動学一般均衡モデルを用いてシミュレーションを行い、企業側が失業体験の長さに応じて応募者の足切りを行う場合の労働市場のパフォーマンスの違いを調べた。その結果、失業経験が全くないことを足切り条件とする場合と短期の失業体験は許容する場合とでは、後者のほうが労働市場のパフォーマンスは圧倒的に良好であるが、許容する失業期間の限界的な増加はそれほど大きな経済厚生の改善をもたらさないことを見いだした。また、日本経済に構造変化をもたらす要因として、グローバリゼーションの進展に着目し、金融市場のグローバリゼーションの進展した状況下では、ある国における小規模の産業政策が両国の産業構造にドラスティックな影響を及ぼし得ることを明らかにした。一方、実証面では、労働力調査(総務省)の個票データを利用した労働時間の推計を行った。従来の関係特殊的人的資本に基づく労働保蔵モデルでは、不況期には労働時間の短縮(および雇用維持)が行われるが、日本の1990年代後半から2000年代初頭にかけての不況期には、むしろ長時間労働が広く行われた。この点について、固定業務の存在、賃金格差の拡大、リストラ不安の増大といった様々な仮説に基づいて分析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、研究が進行したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って、研究を進めていく。
|
Research Products
(1 results)