2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330060
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北川 章臣 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (60262127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 章久 京都大学, 経済研究所, 教授 (00216003)
照山 博司 京都大学, 経済研究所, 教授 (30227532)
太田 聰一 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60262838)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 関係指向性 / 市場指向性 / 長期取引関係 / 経済成長 / 構造変化 |
Research Abstract |
平成24年度の研究実績は次の通り。「慶應義塾家計パネル調査」のデータを用いて転職経験者と非経験者双方を含む標本によって賃金関数を推定し、転職に伴う賃金変化の分析を行った。その結果、自発的な転職に関しては、同一企業に留まる場合に比べて転職時点で賃金が上昇するばかりか、転職後の企業では年功的賃金上昇率も高まる傾向のあることが示された。一方、非自発的な転職に関しては、転職時点では賃金が大きく下落するが、転職後には自発的な転職と同じように年功的賃金上昇率が高まる兆候がみられた。この事実は、転職が労働者の生産性を長期的に改善するとしても、転職時の所得逸失が潜在的な転職を妨げている可能性を示唆する。非自発的転職に伴う転職後の大きな賃金下落の要因を労働市場の関係指向性の観点を取り入れて解明することが次の課題である。この研究とは別に、上記パネルデータを用いて、経済的リスクの増大が出生行動に対して及ぼす影響も推定した。その結果、男性の経済的リスクの増大は出生率に影響を持たないが、女性の経済的リスクの増大は出生率を引き下げる効果を持つことを見出した。また、「雇用動向調査」の産業中分類データを5年分(2004~2008年)プールしたデータセットを用いて、55歳以上の労働者数に占める60歳以上の割合(高齢化指標と呼ぶ)が若年採用に及ぼす影響を分析した。その結果、2006年以降では男性の高齢化指標の上昇が若年採用を抑制する傾向が一部に観察された。とりわけ、女性を中心とするパートタイム労働者(新卒含む)の採用に関して明確なマイナスの効果が見られた。新卒一般労働者の採用についても一部の推定結果に同様の傾向が観察された。また、産業による違いを検討したところ、男性では建設業において代替関係が検出された。このように、高齢者と若年者は仕事の獲得面で部分的に競合すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、研究が進行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、研究を進める
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Research Products
(3 results)