2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23330061
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小林 慶一郎 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60371184)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Diamond-Rajanモデル / 動学的一般均衡モデル / 銀行とりつけ / 世界的金融危機 / マクロ経済政策 |
Research Abstract |
平成23年度には、Diamond and Rajan 型の銀行モデルを無限期間の新古典派的な経済成長モデル(動学的一般均衡モデル)に導入した理論を作成したが、平成24年度は、そのモデルを抜本的に改訂し、二種類の別のモデルを作成した。 ひとつは、Diamond and Rajan型の銀行を一層シンプルにし、Holmstrom-Tirole型の流動性モデルに翻案したものを、新古典派成長モデルに導入したものであり、このモデルによって、金融危機時の政策介入のコストとベネフィットを比較考量することができるようになった。もうひとつは、過剰債務を背負った企業と銀行の間のダイナミクスをモデル化したものであり、こちらは銀行取付のような急性の危機ではなく、慢性的な不良債権問題を分析するモデルとして有用な性質を有している。 これらの二つの理論モデルについては、数学的な細部を詰め、また、不必要な仮定を取り除くなど、モデルの精緻化を進めた。また、平成23年度に作成したモデルを含めて、三つのモデルを論文化する作業を進めた。これらの理論モデルについては、一橋大学や民間機関主催の国際コンファレンスで発表し、欧米の経済学者から有益なコメントを得た。平成24年度の活動から得られたコメントなどをもとに、平成24年度後半から年度末にかけて、理論をさらに発展させつつあり、平成25年度の研究につながっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルの構造をどのような構造にするのがもっとも適切であるかという点について試行錯誤が続いているが、充実した考察と議論によって、着実に理論構成が進展している。以上の状況から判断しておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を発展させ、理論構築とシミュレーションの実施を推進していく。具体的には、Diamond-Rajan型の銀行モデルを使った理論構築を行う過程において、中央銀行の金融政策を分析できる理論を発見したため、この新しいタイプのモデルを構築し、数値計算などの手法でその性質を分析していく。
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