2012 Fiscal Year Annual Research Report
ファイナンス時系列における「発展モデル」の開発と統計的推測
Project/Area Number |
23330075
|
Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
前川 功一 広島経済大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20033748)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
得津 康義 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (30412282)
河合 研一 別府大学, 国際経営学部, 准教授 (50425831)
森本 孝之 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (80402543)
片山 直也 関西大学, 経済学部, 准教授 (80452720)
永田 修一 関西学院大学, 理工学部, 契約助手 (50546893)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | GARCHモデル / 長期記憶系列 / 高頻度データ / ジャンプ過程 / 誤差修正モデル「国際研究者交流」 / 一般化最小2乗法 / 証券市場のバブル 「国際研究者交流」 / 時系列の構造変化 |
Research Abstract |
(1)ファイナンス時系列における長期記憶過程に関して、23-24年度の間、継続して研究代表者前川と分担者河合が研究をおこなった。23年度には長期記憶性発生メカニズムの理論的な説明を与えることができた。24年度にシミュレーションで長期記憶系列を発生させること、及びこのメカニズムが働いているかの実証分析を行った。実証面ではまだ十分な結果が出たとは言えないので25年度も引き続き実証分析を行う予定である。長期記憶時系列に関する研究の中に、発生メカニズムを扱った研究は非常に少なく、限定的とはいえメカニズムの解明を行ったことは非常に大きな意義がある。これまでの研究成果を25年度には論文にまとめ専門誌に投稿予定である。 (2)本研究チームの主要研究課題であるボラティリティのクラスタリングを記述するGARCHモデルに関する研究では、研究代表者、分担者らが共同又は単独で研究を進め、論文発表、学会報告を行った。なかでも多変量誤差修正モデル(Vector Error Correction Model)の誤差工がGARCH構造を持つようなモデルに対して計算の負担の少ない実用的な推定方法を提案し、その推定法の有効性を数値的に示すことができた。さらにこの方法を使った国際金融に関する実証研究「Long Memory in Aggregate Squared GARCH(1,1) Process」はすでに国際的専門誌に受理され出版予定となっている。 (3)高頻度データによる株価・為替変動におけるジャンプを含むモデルの開発研究を行い、その結果を論文にまとめ広島経済大学経済研究論集第35巻第1号に掲載した。この研究はファナンス時系列に頻繁に現れるジャンプ過程の統計的推測の問題を解決することは大きな意義がある。 (4)一橋大学経済研究所共同利用共同研究拠点事業と連携して高頻度データに関す国際シンポジウムを開催した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、分担者らが定期的に研究会を開催し、その過程で得られた成果を論文またはDiscussion paper としてまとめることが出来た。またその中のいくつかは専門雑誌に掲載されたか又は掲載予定である。ただし長期記憶過程の発生メカニズムに関する研究は90%程度は出来上がったが、最後の実証段階で難航したため、完成予定年度の24年度中に完成しなかった。また株式市場に流入する情報量を取り入れて株価の動学的モデルに関する研究も遅れている。しかしGARCHモデル、ジャンプ過程などに関連する研究は、学会、シンポジウム等で報告し、またそれらの研究を論文にまとめ専門誌に受理されたり出版されたので、一応目標を達成した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)最終年度の25年度には長期記憶過程の発生メカニズムに関する研究など継続中の課題を論文の形にまとめ専門誌に投稿する。(研究代表者:前川、分担者:河合) (2)昨年度後半から進めている証券市場におけるバブルの発生と消滅に関する研究を重点的に進める。この研究に関しては海外の共同研究者と連携し、株式市場を模した人工市場モデルをも視野に入れて研究を進める。(研究代表者:前川、協力研究者、Kusdhianto Setiawan(インドネシア、ガジャマダ大学) (3)金融時系列の特性を考慮した統計的検定方法の開発(分担者:片山)、ボラティリティの予測に関する漸近理論的研究(分担者:永田)、高頻度データに基づく実現ボラティリティに関する研究(分担者:森本) (4)株式市場に流入する情報量と株価との関連性に関する研究を促進する(分担者:得津) (5)研究課題に関して得られた成果をアセアン諸国の金融市場に関する実証研究に応用する。それに必要なデータ及び情報収集する。しかしながら本研究チームには金融分野の実証分析のスペシャリストが居ないので、必要ならば本研究チームの外部に最適な研究協力者を求め海外出張に派遣することも考える。
|