2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 敏晃 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00406810)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療経済 / 医師不足 / 医師偏在 / 臨床研修制度 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
近年我が国においては、医師の偏在・医師不足が大きな社会的問題として取り上げられてきた。本研究では、これに関し、医師調査個票データを用いた実証分析を行う。第一に、医師の長期パネルデータと動学的モデルを用い、医師が、地域間移動、 開業、退職等のキャリア選択を如何に行い、どのような要因が意思決定に影響を及ぼすか、構造推定する。また推定したモデルを用い、医師偏在の解消に向けた制度・政策の効果を仮想的に検討する。第二に、医師の不足や偏在が、医療のアウトカム(死亡率など)等にどのような影響を及ぼしているか推定する。本年度は以下の研究を実施した。1. データの検証・基礎分析:本研究では厚生労働省の医師調査個票を目的外利用申請し、医籍番号に基づき医師レベルの長期パネルデータを作成する。また、市町村レベルの医療関連データ、および医療施設レベルの関連データの作成も並行して行う。本年度はこれらの最新年度のデータを新たに取得し、データの検証・分析を進めるとともに、データから観察される基礎的事実の把握・仮説の構築に努めた。 2. 医師が大学での教育を終えた後、毎年毎年、どの地域でどの様な形態(勤務医又は開業医)で働き、どの時期に退職するかという選択を行うような動学的離散選択モデルを構築し、コンピュータ上でシミュレーション(数値分析)ができるように数理表現を行い、パラメターの値の推定に着手した。 3. 誘導系の固定効果モデルの推計を行った。被説明変数としては医療のアウトカム(死亡率)、最も重要な説明変数としては、医師数及びその集約度を用い医師分布が医療のアウトカムに及ぼす影響について基礎的分析を行った。また、2004年に導入された新臨床研修制度に着目し、新制度が日本の医療システムに及ぼした影響に関し、分析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、厚生労働省の医師調査個票を目的外利用申請し、統計法に基づくデータの開示を受けることができた。また、二つの研究課題課題に着手し、それぞれ推計のモデルを構築し、基礎的な推計を行う段階にあり、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も本年度に引き続き、厚生労働省の医師調査個票を目的外利用申請し、統計法に基づくデータの開示を受けたい。また、二つの研究課題課題のそれぞれに関し、モデルの修正・精緻化を行い、分析を進める。また、本年度同様、海外の共同研究者に来日いただき、二つの研究課題を着実に進めていきたい。
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Research Products
(2 results)