2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
川口 大司 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80346139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 英彦 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50401196)
浅野 博勝 亜細亜大学, 経済学部, 准教授 (70327295)
荒井 洋一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50376571)
伊藤 高弘 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (20547054)
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Keywords | 労働政策 / 経済統計学 |
Research Abstract |
本研究課題は,多岐にわたる労働市場政策が,労働者や企業の行動や労働市場における均衡に与える影響を計量経済学的手法を用いて分析することである。 その評価の準備作業として,労働市場政策を規定する法体系を整理し,その経済的な効果を明らかにする作業を,神戸大学大学院法学研究科教授の大内伸哉氏と行った。その成果は大内伸哉・川口大司『法と経済で読みとく雇用の世界』有斐閣としてまとめられて刊行された。労働法を中心とした条文や判例の労働市場に与える効果を正しく理解するためには,労働法学者との協働が必須となるが,その作業を時間をかけて行い成果を公刊したことは労働政策の評価を行うに当たり必要な基礎的知識を確立したという意義がある。 また平成23年度は,主として法定労働時間の削減が時間利用に与える影響を評価した。昭和63年の労働基準法改正に伴う法定労働時間の削減は労働時間を減少させたが,その時間は,主として余暇時間に割り振られ家計生産の時間はほとんど増えなかったことが明らかになった。この結果は近年,同様の法定労働時間の現象が見られた韓国でも共通して得られた。これは将来的に労働時間の削減が起こっても,家計生産の時間が増加することは予測できないという知見を与える発見である.労働時間が外生的に日本や韓国の経験ほど大幅に減少するケースは世界的に見ても貴重であるため,家計生産財と市場生産財の関係についての一般的な示唆を与える分析結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題が評価の対象とする労働政策は,法定労働時間,解雇規制,最低賃金など多岐にわたっているが,法定労働時間の評価に関しては当初の計画以上に進展しており,その一部をJungmin LeeとDaniel Hamermeshとの共著論文としてAmerican Economic Review Papers and Proceedingsを刊行予定である。その他の研究計画についても,データの整備を順調に進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り研究を進める。その中で,最低賃金の雇用や賃金分布への影響評価については,産業経済研究所の研究プロジェクトにも参加して,広く実務担当者の意見も取り入れながら研究を進めていくことを計画している。
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Research Products
(20 results)