2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330079
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
川口 大司 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (80346139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 高弘 広島大学, 大学院国際協力研究科, 准教授 (20547054)
荒井 洋一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50376571)
市村 英彦 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50401196)
浅野 博勝 亜細亜大学, 経済学部, 准教授 (70327295)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 労働政策 / 経済統計学 |
Research Abstract |
本研究は多岐にわたる労働市場政策が、労働者や企業の行動や労働市場における均衡に与える影響を計量経済学的手法を用いて分析することである。 平成24年度には1988年以降の労働基準法の改正による法定労働時間の削減が家計の資源配分に与えた影響を分析した。日本と韓国の個票データを用いて実証研究し、減少した労働時間はほとんど余暇時間として利用されていることを両国で発見した。この結果の一部は米国、韓国の研究協力者との共同研究としてAmerican Economic Review, Papers and Proceedings誌に公刊された。また労働者の時間利用に関する選好パラメータを推定した研究成果はNBER working paperとして公刊され、現在学術雑誌に投稿中である。 また、雇用の非正規化を規定する要因を労働力調査の長期データを用いて検証し、日本の長期にわたる経済停滞が日本型雇用慣行を合理的なものたらしめる基盤が崩れつつあることが主因であることを発見した。この研究成果は研究分担者との共著論文としてScottish Journal of Political Economy誌に受理され刊行予定となっている。関連する論文として勤続年数の短期化を論じた論文が研究協力者との共著論文としてJournal of the Japanese and International Economies誌に掲載された。 2011年夏の電力不足という外部環境の大幅な変化に対して家計がどのように対応したのかを探る研究については家計調査の個票を入手し研究分担者と協力しながら加工を続けている。調査地点の気象情報との接合、計画停電対象地域との接合を終えたので平成25年度については統計分析を行い、研究成果を学会などで報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題が評価の対象とする労働政策は,法定労働時間,解雇規制,最低賃金など多岐にわたっているが,法定労働時間の評価に関しては当初の計画以上に進展しており新たな研究課題を考えることもできそうである。解雇規制に関連する雇用の非正規化に関する研究や最低賃金に関する研究は産業経済研究所の研究プロジェクトに参加して研究を効率的に進めることができたこともあり、当初計画よりも早く平成24年度までに終えることができた。このような研究の順調な進展の結果、当初計画には含まれていなかった節電行動の分析を開始することができ、この分析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は4年計画のうちの3年度目にあたる年である。当初計画されていた法定労働時間変更の影響、非正社員増加の背景を巡る研究、最低賃金の雇用への影響に関する研究はほぼ終えることができた。雇用保険の受給者に関する研究はデータの制約が判明し研究を進めることが若干難しい状況ではあるが、引き続き検討を続けたい。 当初計画には含まれていなかった節電行動に関する実証研究は着実な成果を期待できる研究計画であると考えている。平成25年度はこの研究の実行に力を入れる。同時に法定労働時間に関する研究計画より発展した労働者の厚生評価や学校週休二日制導入の影響評価などの研究を始めていきたい。
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Research Products
(27 results)