2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 勝 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (10340647)
小原 美紀 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (80304046)
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Keywords | 時間割引 / 幸福度 / 派遣労働 / 競争選好 |
Research Abstract |
行動経済学的特性に関するアンケート調査:行動経済学的な特性と労働供給の関連を明らかにするために、約10,000人を対象にWEBアンケート調査を行った。時間割引率、危険回避度、幸福度、性格特性、教育等の情報と労働供給の状況について質問を行った。また、大きな自然災害を被ったことが、その後の長期的な経済的な状況や価値観、選好、幸福度にどのような影響を与えるかを明らかにするために、阪神大震災の被災地域と比較対照となる大阪、横浜に調査対象者を絞ったことが2011年度の調査の特色である。2011年度については、調査票の作成と調査の実施が中心であり、分析は2012年度に行う。また、派遣会社への登録者に関する行動経済学的質問とその後の雇用に関する調査も2011年度に開始し、2012年度に追跡調査が可能な段階まで進捗した。 競争選好の男女差に関する経済実験:競争選好の性差が、中学高校時代に男女共学か否かに依存するかを明らかにするために、高校生と大学生を対象に経済実験を行った。現段階までの暫定的な結果によれば、共学・女子高という要素はあまり大きくない。しかし、参加した高校生のサンプルに偏りがある可能性もあり、今後引き続き研究を続ける必要がある。 ジョブサーチ行動:大阪大学GCOEのアンケートデータを用いて、時間割引率の特性と派遣労働に就く可能性と派遣労働が正社員へのステッピング・ストーンになっているかを検証した。その結果、時間割引率が高い人、現在バイアスの時間割引率をもっている人ほど、派遣労働者となる可能性が高いことを明らかにした。そのような行動経済学的特性をコントロールしたとしても派遣労働の経験は、正社員となる可能性を低めているという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動経済学的特性と労働供給に関する詳細で大規模なWebアンケートを実施し、競争選好に関する経済実験を被験者約300名を対象に実施した。さらに、派遣会社の協力を得て、派遣登録者に対する行動経済学的なアンケートを開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
行動経済学的な大規模WEBアンケートについては、当初、同一個人を追跡することを考えていたが、大規模自然災害と行動経済学的な影響に焦点をあてることにした。1年目は、阪神大震災の長期的な影響を行動経済学的な側面から分析できる調査を行った。2年目以降は、東日本大震災の行動経済学的な特性を含めた労働供給・消費行動の影響を分析できるデータを作成することを予定している。
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Research Products
(14 results)