2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330080
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 勝 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10340647)
小原 美紀 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (80304046)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 時間割引 / ソーシャル・キャピタル / 派遣労働 / 競争選好 |
Research Abstract |
行動経済学的特性に関するアンケート調査:2011年度に行った約10,000人を対象にしたWEBアンケート調査で行動経済学的な特性と労働供給の関連を調べたが、その調査結果の統計的解析を行った。具体的には、阪神淡路大震災で被災した人は、被災しなかった場合に比べて、17年経過した時点でも賃金が約5%低いことが明らかにされた。また、阪神淡路大震災の被災者は、近隣住民とのソーシャル・キャピタルが減少している。所得減少、ソーシャル・キャピタルの減少の影響で、被災経験者の幸福度は、非被災者よりも低くなっている。2012年度においては、2011年度の調査対象者に対して、当時の住居の構造や近隣の様子、所得などについて、追加調査を行った。追加調査と2011年度調査の結果を用いた分析でも、主な分析結果は変更されなかった。東日本大震災が共同体意識に与えた影響および行動経済学的パラメターに与えた影響を分析するためのWEBアンケート調査を実施した。このデータの分析は、2013年度に行う予定である。また、2011年度に開始した派遣会社への登録者に関する行動経済学的質問とその後の雇用に関する調査は、調査対象者が300名に達しており、その後の追跡調査を行っている。2013年度には、このデータの解析を行う予定である。 競争選好の男女差に関する経済実験:競争選好の高校生に対する実験結果の解析により、兄弟姉妹の構成と順番によって、競争選好の程度が異なることが示された。リアルエフォート実験によって得られた賃金を被験者間で再分配する機会を与えた実験を行い、再分配への選好の特性を分析する実験を行った。この実験の解析は、2013年度に行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動経済学的特性と労働供給に関する詳細で大規模なWebアンケートを予定通り実施した。リアルエフォート・タスクで得られた賃金の再分配性向についての実験を行った。さらに、派遣会社の協力を得て、派遣登録者に対する行動経済学的なアンケートを継続し調査対象者を300名確保できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
行動経済学的な大規模WEBアンケートについては、当初、同一個人を追跡することを考えていたが、大規模自然災害と行動経済学的な影響に焦点をあてることにした。2011年度は、阪神大震災の長期的な影響を行動経済学的な側面から分析できる調査を行った。2012年は、東日本大震災の行動経済学的な特性を含めた労働供給・消費行動の影響を分析できるアンケート調査を行った。2013年度においては、今までに構築したデータをもとに、データの解析を行い、論文としてまとめる。
|
Research Products
(17 results)