2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330084
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
清水 千弘 麗澤大学, 経済学部, 教授 (50406667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐渡 広志 富山大学, 経済学部, 教授 (00345555)
佐藤 英人 帝京大学, 経済学部, 准教授 (00396798)
森田 学 青森中央学院大学, 経営法学部, 講師 (40599560)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物価指数 / 住宅価格指数 / 商業不動産価格指数 |
Research Abstract |
2012年度の主たる目標は,住宅系不動産市場分析から,商業系不動産市場へと発展させることであった。まず,住宅価格指数に関する研究においては,研究成果を国際学術誌に投稿するとともに,単なる価格指数の推計に関する研究から,住宅価格指数を用いた既存の主要統計の改善可能性を模索する研究へと発展させた。具体的には,SNAの中で,各国共通に1割程度のウェイトを占めるにもかかわらず,最もその推計が困難であると言われている「持ち家の帰属家賃」に関する推計への応用を試みた。その研究成果は,2012年5月に国連欧州本部で報告すると共に,研究論文としてのとりまとめを行った。 続いて,商業不動産価格指数に関する研究への発展である。研究計画策定時には予想できなかったことであるが,2011年2月に於いて,G20で商業不動産価格統計の整備に向けての決定が行われた。そのため,2012年5月に,欧州中央銀行において,商業不動産価格指数のハンドブックを作成していくうえでの国際会議が開催され,「住宅価格指数ハンドブック」に対する貢献が評価されたことで,本研究プロジェクト代表の清水が報告を行った。また,2013年1月には,同ハンドブックの執筆者に清水が選任され,本研究プロジェクトの成果が直接に国際「商業不動産価格指数ハンドブック」の成果に反映されることとなった。 商業不動産価格指数の関する研究は,2012年度においては,日本で入手可能な実物不動産価格に関するデータを出来る限り整備し,既存の商業不動産価格指数の歪みを明らかにすることを試みた。 一連の研究は,研究分担者だけでなく,研究協力者として参加しているブリティッシュコロンビア大学のErwin Diewert教授らとの共同研究として実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2014年度に予定していた書籍の出版準備と国際ワークショップを2012年度で実施することとなった。また,複数の論文の執筆が進み,2012年度に国際学会でも報告が実施できたことから,当初の計画以上に進展していると評価して良いものと考える。 研究会支持から予定していたすべての研究は完成・着手できていると共に,当初の想定していた以上にデータの整備が進み,より高いレベルでの研究が実施できる体制も整っている。2013年度は,研究成果のとりまとめ,公表,残された分野への研究の着手などを進めていくことで,当初想定していた以上の成果を最終年度に向けて達成できるものと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度からは,研究成果のとりまとめを行うと共に,新規に商業不動産価格指数の開発を本格化する。まず,研究成果のとりまとめの一つとして,2013.10/15-16で,内外の研究者を東京に招聘し,国際ワークショップを開催する。同ワークショップには,国際住宅価格指数ハンドブックの責任者であり,本研究プロジェクトの研究協力者のブリティッシュコロンビア大学のErwin Diewert教授をはじめ,香港大学,シンガポール国立大学,KDI(韓国)など,アジアの研究者も参加予定である。加えて,日本語・英語で「住宅価格指数の理論と実際: Residential Property Price Indexes: Theory and Practice」の出版準備を進める。同著の執筆者は,研究分担者だけでなく,研究協力者も執筆予定である。 続いて,商業不動産価格指数に関する研究である。今までの2年間の研究においては,家計の多様性と住宅価格との関係に注目してきた。次の段階として,企業の多様性と商業不動産価格との関係をみることが計画されている。ここでは,当初予定していた不動産実物市場における市場特性と価格指数の推計といった枠を超えて,不動産のサービス市場としての家賃市場と資産市場に加えて,金融市場での情報を活用することで,資産市場の特殊性を浮き彫りにしていくことを進めようとしている。具体的には,近年急速に発展してきているリート市場において観測可能なデータを用いる。リート市場では,不動産実物市場だけでなく,各運用会社単位で上場されていることから,金融市場に於いて日々,株価としてデータを観測することが出来る。加えて,各企業単位の属性も観察できる。つまり,企業の多様性を考慮することが出来るのである。本年度は,この分野でのデータを収集分析し,最終年度でのとりまとめて向けて基礎的な分析を進めていく予定である。
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