2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330092
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
八田 達夫 学習院大学, 経済学部, 客員研究員 (70008647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐渡 広志 富山大学, 経済学部, 准教授 (00345555)
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Keywords | 経済統計学 / 交通需要マネージメント |
Research Abstract |
本研究は、自転車放置行動に、撤去率、駐輪所の混雑率、および駐輪料金がどのように影響しているかを示す自動車放置需要式を導出し、その推定式に基づいてそれぞれの対策の費用対効果を分析することを目的としている。 平成23年度においては、自転車放置行動に関する数量分析の文献のサーベイを行うとともに、分析の枠組みを検討した。当初は駐輪所に関する個別情報を整理するため、フィールドワークを行う予定だったが、平成13年については、東京都の中央線と山手線沿線の各駅における違法駐輪についてのデータがあるだけでなく、駐輪所に関するデータを得ることができたので、このデータを用いてパイロットモデルによる計量分析を行い、成果をディスカッション・ペーパー「違法駐輪に対する政策効果分析」(唐渡広志,八田達夫,佐々木芙美子)にまとめた。さらに都市の混雑制御における価格メカニズム活用の重要性を指摘する論文を学術雑誌「都市計画」に掲載した。この分析では構造分析を行っていないが、それぞれの違法駐輪対策の効果に関する優位な統計的結果を得た。また、この分析によって当初予定していなかったトービットモデルでの分析と集計ロジットモデルの分析を行うことができた。より最新の自転車の実態調査を用いて24年度以降に分析する際に、どのような補完的なデータが必要か判明した。パイロットモデルでのかなり具体的な成果が出たため、放置自転車に対する視察は行わず、むしろ推定のパイロットモデルの計算に今年度の資源を投入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)自転車放置行動に関する理論的枠組みを整理した上で定量分析の基礎を作った。 (2)東京都においてフィールドワークを行い、駐輪場に関する個別情報を整理した。 (3)基本モデルに平成13年のデータを適用して、パイロットモデルによる台数決定のメカニズムを解明した。 (4)放置自転車に対する海外視察は行わず、むしろ推定のパイロットモデルの計算に今年度の資源を集中して投入した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、平成23年度に行った基本モデル構築とデータベース開発の成果を利用して、さらなる計量経済分析を行い、実駐輪需要を決定するメカニズムを定式化する。次に、この実駐輪需要関数を基礎にして、駅の乗り入れ利用者数を支配する外生的な地域や社会の要因を考慮して、構造化された計量経済モデルを構築する。 平成25年度には、実証モデルの成果を利用して、放置自転車対策のシミュレーション分析を行い、経済効率性の観点から最も望ましい政策の提言を行う。結果を大学・自治体等で発表し、そのコメントを反映させてさらなる改善を行う。
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Research Products
(3 results)