2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23330092
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
八田 達夫 学習院大学, 経済学部, 研究員 (70008647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐渡 広志 富山大学, 経済学部, 教授 (00345555)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 経済統計学 / 交通需要マネージメント |
Research Abstract |
本研究は、自転車放置行動に、撤去率、駐輪所の混雑率、および駐輪料金がどのように影響しているかを示す自動車放置需要式を導出し、その推定式に基づいてそれぞれの対策の費用対効果を分析することを目的としている。 平成24年度においては、東京都の各区および、多摩地区の各市における鉄道各駅周辺における駐輪場の地図、駐輪場ごとの混雑度と駐輪料金、さらにはその駅周辺の撤去率などの調査を行い、詳細なデータ収集をした。これは、23年度に構築したパイロットモデルの分析の結果、必要性が明らかになった全てのデータの項目を含んでいる。 またデータの信頼度を高めるために、必要に応じて各市区役所の担当者からヒアリングを行った。駐輪場と駅からの距離、契約期間による駐輪、駐輪料金の差、撤去頻度の違いなど、実証分析において横断的中立性を担保するために必要なデータをできる限り多く収集した。 このデータを用いることにより放置自転車のいくつかの計量経済モデルの構築を試行した。特に駅前に乗り入れる自転車のうち違法駐輪される割合を集計ロジットモデルおよびトービットモデルによって推定した。自治体が用意すべき駐輪スペースはその駅前に乗り入れる自転車台数との比量に大きく依存している。しかし、駐輪場空き割合は,違法駐輪台数と合法駐輪台数の同時決定によって決まるので,違法駐輪割合の推定において内生性バイアスが生じている可能性がある。これに関しては操作変数を利用してこれに対処したが、新データーにより結果が改善した。 一方、自転車が社会問題になっているため、直近では、都心居住の進展の結果、ビジネス地区の駅付近での放置が問題になっているので、コンパクトシティについても研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①自転車放置行動に関する理論的枠組みを整理した上で定量分析の基礎を作った。 ②平成13年のデータを適用して、パイロットモデルによる台数決定のメカニズムを解明した。 ③東京都においてフィールドワークを行い、駐輪場に関する個別情報を周到に収集し、整理した。 ④新データを用いて構造化した計量経済モデルが完成に近づいた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、平成23年度に試算したパイロットモデルと24年に構築したデータベース構築の成果を利用して、実駐輪需要を決定するメカニズムを定式化する構造化された計量経済モデルを完成させる。 さらに、実証モデルの成果を利用して、放置自転車対策のシミュレーション分析を行い、経済効率性の観点から最も望ましい政策の提言を行う。結果を大学・自治体等で発表し、そのコメントを反映させてさらなる改善を行う。
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