2012 Fiscal Year Annual Research Report
近世村落社会における市場経済化と土地利用:経済史研究からみた人と環境の関わり合い
Project/Area Number |
23330117
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山内 太 京都産業大学, 経済学部, 教授 (70271856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 良之 山形大学, 大学院教育実践研究科, 教授 (10210072)
長谷部 弘 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50164835)
佐藤 康行 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40170790)
高橋 基泰 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20261480)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自然環境 / 土地利用 / 市場経済化 / 土地所有制度 / 村落社会 / 近世史 |
Research Abstract |
本年度も引き続き、調査対象地の資料調査、データーベース作成を行うと共に、その時点における研究成果を学会発表という形で発表し、大きな反響を得た。 まず長野県上田市上塩尻村については、新しく発見され、上田市博物館に預託された古文書の調査、写真撮影を行った。本年二月にも新資料が発見され、この資料調査も併せて行った。さらには上塩尻村の隣村である秋和村、下塩尻村の旧家や公民館が所蔵する古文書についても資料調査を行い、写真撮影を行った。これらの新発見資料をもとに、人口データーベース並びに土地所有データーベースの再製を行うと共に、より地域的に広い範囲のデーターベース作成を現在試みている。これにより、当初想定していたよりも、広範囲、かつ多面的な上塩尻村の姿が、より長期間にわたり、把握できるようになった。 また新潟県西蒲区中郷屋村についても、引き続き資料調査を行い、写真撮影、データー整理・作成作業を継続した。これら新たに獲得した情報をもとに、土地所有に関するデーターベースを作成した。そして昨年度に完成していた人口データーや地図データーと、これらとを着き合わせる作業を開始した。これにより、今後本村の土地利用の実態が明らかになることが期待される。 さらに同角田浜村については、現在京都産業大学でお預かりしている旧庄屋家文書について、雇用労働等も用い、鋭意資料整理・写真撮影、データーベース作成を継続した。その他角田浜村については、公民館に所蔵されていた区有文書についても資料調査・写真撮影を行うことができた。これらの資料を用いて、今後、漁業をはじめ多様な生業を持つ角田浜の就業構造を明らかにする準備ができたと言える。 最後に、現時点での研究成果報告として、24年5月の社会経済史学会(於名古屋大学)、並びに同年8月国際農村社会学会(於リスボン)において研究報告を行ったことも付け加えておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究計画において調査対象地として上げた四か村のうち、長野県上田市上塩尻村、新潟県新潟市西蒲区中郷屋村、同角田浜村については、おおむね順調に進展しているといえる。この三か村については、既に人口データーベースや地図データーをはじめ、種々のデーターベースの作成が終了し、今後れらを着き合わせることを通じて、各村の土地利用の実態・意義が明らかになることと期待される。しかしながら、もう一つの調査対象地である新潟市西蒲区旧福井村については、閲覧可能資料の状態、時間的制約や資料所蔵者とのコミュニケーション不足、スケジューリングのミスマッチ等のため、24年度においても、本格的な資料調査を行うことができなかった。それゆえ現時点においては、福井村に関しては調査研究がほとんど進展していない状況に陥っている。それゆえ、本研究課題の現在までの達成度としては、やや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、補足的な資料調査を行うと共に、研究進展上必要なデーターベースの完成並びに分析作業を急ぐ。8月には国際農業・農村史カンファレンス(於スイス・ベルン)において学会報告を来ない、研究成果の発表を行うと共に、国際的な視野からのコメントを受け、海外からの視点も加えながら、研究の一層の充実を図る。 その際問題となるのは、調査対象地の最後の一つである、新潟市西蒲区福井村の取り扱いである。上述のように、福井村に関しては調査研究がほとんど進展していない状況に陥っている。そこで、本研究グループとしては、最終年度にあたり、この福井村に労力を振り向けるよりは、現在研究が概ね順調に進展している、残りの三か村に集中することの方が、より多くの研究成果が期待できると考えた。当初の研究計画に沿う研究成果を、この三か村の分析・検討をより密度濃く、より深く行うことで、十分得られるものと考えている。 そして研究進展の順調な三か村の研究成果を以て、海外におけるカンファレンスでの研究成果発表のインパクトも踏まえ、最終的な研究成果報告書の作成に向かいたい。
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Research Products
(5 results)