2011 Fiscal Year Annual Research Report
知的基盤型サービス業と製造企業の価値共創:新イノベーションモデルの実証的国際研究
Project/Area Number |
23330119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長平 彰夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10323122)
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Keywords | 知的基盤型サービス業(KIBS) / 製造企業 / 価値共創 / イノベーション / 新製品開発 / フロントエンド / 構造方程式モデリング |
Research Abstract |
平成23年度は、新製品開発論、研究開発マネジメント論、イノベーション論などの基礎理論の文献調査を国内外において実施した。特に、国外については、知的基盤型サービス業(KIBS)の研究が盛んに行われている欧州の大学(英国ケンブリッジ大学、ドイツハンブルク工科大学、スウェーデン王立工科大学)を訪れ、各国語の論文を含めて幅広く入手した。そして、これらの調査結果を踏まえて、知的基盤型サービス業(KIBS)と産業との価値共創に関する文献レビュー論文を執筆し、投稿を行った。 また、製造企業とKIBSに関する大規模アンケート調査項目の作成のための予備調査として日本企業のうちから、(1)製品の種類(産業財及び消費財)、(2)企業規模(大企業及び中小企業)、(3)業種(電子部品、電子機器、精密機器、自動車、化成品、飲食品、繊維衣料、機械部品、薬品、ソフトウェアの10業種)に基づいて、100社を選定してインタビュー調査を計画し、年度内で10業種延べ53社(1社の複数事業部門についてはそれぞれ1回として累積積算)であった。 インタビュー形式による予備調査の結果、KIBSを選定する基準として、(1)提供サービスの価格、(2)提供サービスの質、(3)KIBSの規模、(4)日本のKIBSのみ、(5)海外のKIBSのみ、(6)過去の実績や評判、(7)海外での事情通、(8)個人的な信頼関係、が項目として挙げられた。グローバル展開を行っている企業が多い製造企業では、KIBSの選定において、国内と国外では選定基準や効果の内容が異なること、業種によりKIBSの貢献期間の相違(薬品などは長い)、が判明した。また、KBSのサービスの提供方法についても、(1)フェイス・ツウ・フェイスでの提供、(2)インターネットなどのIT技術での提供、(3)マニュアル等による提供、などをそれぞれ挙げる企業(複数挙げる企業も有)に分かれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響で、交通手段、通信手段が約2ケ月近く機能不全に陥ったことから、その間、企業インタビュー予備調査の実施及び国外の文献調査に出かけることができなかった。結果として進捗が遅れることとなり、当初、平成23年度後半に完了予定であった大規模アンケート調査項目の確定、調査項目間の分析フレームワーク、解析手法の確定が、次年度にずれ込むこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響による研究達成度の遅れを取り戻すために、平成25年度実施予定の日本での製造企業とKIBSに関する大規模アンケート調査項目の作成を行う作業と同時並行で、予備調査の残りを引き続き実施する。解析手法、分析フレームワークの確定についても遅れているが、これに関して、ドイツのハンブルク工科大学等の全面的な協力が得られることで合意したことから、早急に渡独し、最新の解析ソフトの提供、分析のフレームワークの構築について研究協力を得る。大規模アンケート調査表送付先の選定について、(財)日本生産性本部及び(社)企業研究会の協力により、合計2,000社の新製品開発・研究開発部署のマネジャーまたは課長クラス合計4,000人をリストアップする。 以上から、平成24年度は、研究支援者を1名、新規に導入し、当初研究目的のスケジュールと同等程度の達成度に持っていく予定である。
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