2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330120
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡辺 真一郎 筑波大学, システム情報系, 教授 (50282330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 雄一郎 筑波大学, システム情報系, 教授 (50233854)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キャリアコミットメント / ジョブインボルブメント / 継続学習 / 抑鬱 / ジョブストレス / エンゲージメント型ストレス対処行動 / ディスエンゲージメント型ストレス対処行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は看護師を対象とし2つの研究を行った。第1は、キャリアコミットメント、ジョブインボルブメントが継続学習に及ぼす影響についてである。技術革新の進展により、看護師の仕事内容が大きく変わりつつあることが本研究の背景であった。この状況において看護師がケアーの質を維持し高めていくためには、自立的かつ継続的に学習していくことが肝要と思われる。研究結果として、キャリアコミットメントは継続学習に直接効果を有するが、その影響は部分的にジョブインボルブメントを経由する間接的なものとも言えることが明らかとなった。如何にして看護師のキャリアコミットメントを高め、仕事への自我包絡を強めていくかが今後の労務管理の鍵となり得るだろう。 次に、看護師特有の仕事負担に起因するうつ病に目を向け、それを予防・低減することを目的とし、ジョブストレス源としての患者の健康状態及び看護師の性格特性とストレス対処行動が看護師のうつ病に及ぼす影響をテーマとした。具体的には、看護師が担当する患者の病状レベル(軽傷~重症)と看護師自身の性格特性(外向性と神経症的傾向)が看護師の抑鬱状態に直接影響するのか、あるいは看護師のストレス対処行動(エンゲージメント型ストレス対処行動 vs ディスエンゲージメント型ストレス対処行動)によって媒介される間接的なものであるかが検証された。その結果、神経症は抑鬱に対し正の直接効果を有する点、及び外向性と神経症的傾向の抑鬱への効果は、対処ストレス対処スタイルの選択を経由する間接的なものともなり得ることを見出した。外向的な看護師はエンゲージメント型ストレス対処行動を、一方神経症的な看護師はディスエンゲージメント型ストレス対処行動を選択する傾向が見られた。エンゲージメント型ストレス対処行動は抑鬱を低減し、ディスエンゲージメント型ストレス対処行動はそれを増幅する傾向も併せて見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は看護師の継続学習と精神健康に目を向けた研究を遂行した。研究成果をリサーチサイトである大学病院で発表したところ、今後の人事・労務管理が目を向けるべき課題提供となり得たという評価を頂くことができた。本研究課題の遂行目的の一つが看護の現場に対する実際的貢献であることを踏まえるならば、本年度も予定通り、現場への貢献を付加できたと判断する。
但し、研究成果を世界共通の言語(英語)で執筆し発信していく作業はやや遅滞している。本年度はこの点にも精力を注ぎたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、26年度に計画した信頼概念の国際比較に加え、組織コミットメント概念の再考を行う予定である。「チーム構成員間の信頼」は常にチームで仕事を遂行する看護師が高品質ケアーを提供する上で欠かすことのできない要素と言える。構成員の知識・スキル・能力に基づく認知的信頼だけでなく、社会的人間関係にもとづく情動的信頼にも目を向け、どちらの信頼関係が種々の看護行動(職務満足、転職、チームバイアピリティー、組織コミットメント等)により強く結びつく傾向があるかを明らかにしたい。
さらに、本研究課題の最終年度である本年は、上記の研究だけでなく、今までの成果についての論文執筆に精力を注ぎたい。
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