2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330120
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡辺 真一郎 筑波大学, システム情報系, 教授 (50282330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 雄一郎 筑波大学, システム情報系, 教授 (50233854)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感情不協和量 / 所有j感情ベクトル / 表示感情ベクトル / 混合所有感情ベクトル / 混合表示感情ベクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主として看護師が上司との間で日々経験する感情不協和を測定するための尺度と手法を開発した。感情不協和とは、所有感情と表示感情の乖離に起因する心的不快を意味する。既存研究においては、所有感情と異なる感情を表示する頻度を問うことによって乖離スコアーとするのが一般的である。そして、所有感情と表示感情の乖離は心身のバーンアウトに繋がるという結果が多々報告されてきた。
我々は、感情不協和経験の「頻度」を扱う既存尺度は不協和の「量」を反映するとは言い難いと主張し、新尺度の開発に着手した。まず、Russel(1980)の感情円環モデルに準拠し、「喜び‐悲しみ」、「安心‐不安」、「穏やか‐怒り」という3種の感情群のそれぞれを1次元両極をなす主要3感情として抽出した。次に、これら3つの感情尺度(11点スケール)を調査対象者に提示し、過去3ヶ月の間に上司に対して抱いてきた所有感情、及び上司に対して実際に表してきた表示感情の強度を評定してもらい、3つの所有感情ベクトルと3つの表示感情ベクトルを得た。さらに、人間行動に影響する感情とは、喜び‐悲しみ、安心‐不安、穏やか‐怒りのような個々独立した感情ではなく、これら複数の異種感情がこもごも至る混合感情であるという見地より、上記3種の所有感情の合成ベクトルを混合所有感情ベクトル、そして3種の表示感情の合成ベクトルを混合表示感情ベクトルとし、これら2つの合成ベクトルの外積を感情不協和量と定義し、バーンアウトとの関連を検証した。
その結果、新尺度は既存尺度と同様に、バーンアウトと強い正の連関を有することを見出した(構成概念妥当性)。さらに、3種の感情次元を個別に扱う潜在変数モデルを構築し、新尺度を用いた場合と比較した結果、新尺度の説明力の方が有意に高いことが明らかとなった。以上より、本研究は感情研究に対し理論的貢献を付加し得ると判断する。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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