2011 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミック・ケイパビリティ理論の実証研究:組織内部に発生するメカニズムの解明
Project/Area Number |
23330121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 靖憲 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (80238229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七丈 直弘 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (30323489)
岡村 浩一郎 関西学院大学, 商学部, 准教授 (80580349)
柴山 創太郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (30609285)
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Keywords | 経営革新 / 組織能力 / ダイナミック・ケイパビリティ / 研究組織 / 企業家精神 |
Research Abstract |
本研究は、組織構造と組織活動(ルーティン)を変更することを通じて経営革新を実現する組織能力-ダイナミック・ケイパビリティを顕在化するために必要な組織構造と意思決定・インセンティブ構造の解明を目的とする。平成23年度においては、日本製鉄業におけるトップ企業に対して事例研究を行い,経営トップによる組織改革によって権限を委譲された経営ミドル層が,社内企業家としてルーティン変更を経営目的とし、キャリアを通じて広く深いノウハウを形成した技術者の支援によって目的を達成したプロセスを明らかにし、同プロセスの解明によって理論に対する貢献を行った。さらに、近年急速に企業化することによって本研究の対錬となった大学等研究組織に対する分析としては、企業化の進展が最も顕著なバイオ医薬分野を対象に、個別の研究室に対して、研究パフォーマンス(論文出版数、引用数)、その資源ベース、技術フィットネス(研究能力)、進化フィットネス(外部資金獲得額)、研究リーダーの企業家精神(モビリティー)等)など、ダイナミック・ケイパビリティの源泉に関する一連のデータを作成した。並行して、バイオ医薬分野で優秀な研究成果をあげている大学研究室に対して、研究マネジメントと組織活動に関する質問表調査を実施した。そこでは、研究の各フェース(テーマ設定、実験、論文作成等)において、教授、ボスドク等、組織の各階層がどのような役割分担をして研究を進めたか(トップダウンvs.ボトムアップ〉、また、研究室の内部に必要な研究能力がない場合、その能力をどのように調達したか(内部形成vs.外部調達)、等、関連する一連の要因が調査された。収得した以上のデータによって、本研究の目的である組織のダイナミック・ケイパビリティの要因分析を行うことが可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
企業活動の分析を本務とする経営学の見地から,企業活動に関する事例分析を行うことにより、本研究テーマに関する経営理論からの問題設定、また、理論への貢献に関して一定の理解が得られた。さらに、質問票調査において高い回答率が期待された研究組織に対する質問票調査において、期待していた通りの回答率が得られたため、研究室の研究パフォーマンスを被説明変数とする一連のモデル推定をおこなうことにより、本研究の目的であるダイナミック・ケイパビリティに関する定量分析を実施する体制が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
以上に述べたように、本研究テーマに対して、計量書誌学に基づいたデータ作成、また、質問票調査による関連データの作成が終了している。本年度以降、以上のデータを活用して、理論に基づいた定量分析を実施する予定である、,その際、単にデータからの整合性をみるだけではなく、実際に優秀な研究成果をあげた研究室に対するインタビューを行う等,如何に、現実に基づいた理論構築が出来るか、現場とのコミュニケーションの確保に留意して研究を進めたい。
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Research Products
(7 results)