2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330140
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂本 和子 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50379070)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 周造 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30060015)
河原林 桂一郎 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 教授 (20387525)
藤戸 幹雄 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (90335315)
木谷 庸二 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (10299133)
|
Keywords | デザイン・マーケティング / 国際比較 / デザイン評価 / 文化的差異 / 購買意向 / デザイン嗜好 |
Research Abstract |
本年度は,欧州やアジアの地域別に自然環境や文化特性とデザインとの関係について研究し,いくつかの知見を導出した.具体的には色に着目し,色相だけでなく,明度や彩度を加えた色立体で捉えることで,個人差の大きな色嗜好について新しい研究アプローチを行った. 調査はまず東アジア圏の日本,中国,韓国とフィンランド(欧州)の学生を対象に色相や明度差などの違いから20色を選定し,「好きな色」と「製品購入の際によく選択する色」について聞いた.その結果,「好きな色」については各国でほとんど差が見られなかったが,「製品購入の際に選択する色」は東アジア圏と欧州で差が見られた.特に欧州は明度差による嗜好が強い結果となった. そこでこうした色嗜好は地理的要因から来るのではないかと考え,日照時間の影響が大きい明暗順応による明度差に着眼した.太陽光は緯度により照射が異なるため,北緯30度付近の成都,上海と鹿児島,北緯40度付近の北京,秋田で,ほぼ同時期にインターネット調査を行った.調査項目は(1)好きな色の選択(2)プロダクトになった際(携帯電話)の好きな色を選択(3)購入意向と他者視点(4)購買要因で,各100サンプルを収集し分析した. 本調査では残念ながら色嗜好に関して地理的要因による明確な違いを見出すことはできなかった.しかしすべての都市で明度O表示の色を好む傾向(薄いパステル調より濃い目の色)にあること,色相でみると成都が大きく異なる傾向を示し他が青を好むのに対し黒を好むこと,上海は紫,秋田は緑を好むなど,都市別の傾向がわかった.そして色相より明度の方が大まかな傾向を掴みやすい可能性が示唆された. 今回はデザイン属性(色)の捉え方や調査方法などを工夫し,また緯度差に着眼するなど,方法論の進展という点で意義ある内容であったと思われる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者間で十分なレビューとディスカッションを行い,いくつかの有益な仮説を検討してきた.また,国内外の学会等で研究報告を行い,多くの研究者から興味深い内容であるとのコメントをいただいた.ただ,欧州研究者との連携がもう少し取れれば,欧州の消費者特性や傾向を加味した調査内容を検討することで,より有益な知見導出につながったと思われる.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は欧州研究者との連携を深め,欧州エリアの知識を収集するため,特定国派遣研究者としてオランダで調査活動を行う予定である.さらに文化特性に関する変数やデザイン属性の組み合わせなど,汎用化が難しい研究テーマが残っているため,欧州での活動との関連からどこまでの領域に着手するかを検討する.
|
Research Products
(14 results)