2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330140
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂本 和子 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50379070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木谷 庸二 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (10299133)
河原林 桂一郎 静岡文化芸術大学, その他部局等, 名誉教授 (20387525)
阿部 周造 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30060015)
藤戸 幹雄 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (90335315)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | デザインマーケティング / 国際比較 / 文化差異 / 消費特性 / デザイン評価 |
Research Abstract |
製品デザインは色や形,素材といった属性により人の嗜好を具現化することで,アイキャッチや他製品との差別化に有効である.また,魅力効果やおとり効果など売り場の変化や販促活動にも効力を発揮する.昨今,製品のコモディティ化に伴い,こうしたデザインの重要性は益々高まってきている.そこで本年度の研究活動はデザインの嗜好が文化的背景の異なる東西地域によってどう異なるのかを明らかにすることを目的に,デザイン属性の中で形と色に着目して調査を実施した. 絵画や建築様式の東西比較に関してはいくつかの研究が存在している.例えば,西洋人は黄金比を好む(Fechner1876)が,日本人は白銀比や正方形を好む(中村2002)など.また,西洋は立体志向に対して東洋は平面志向であること(Gombeich1989),西洋は比率やシンメトリーが重要な美の要素であるが,日本人はアシンメトリーなものに美を感じる(三井2000)など異なる傾向が示唆されている.こうした違いがデザインの嗜好にもあらわれるかを日本とフィンランド,オランダでの調査により考察した.全体の傾向をみるとオランダは同じヨーロッパ圏に位置するフィンランドより日本と類似しているが,数量化やラフ集合理論により.好まれる要素の組み合わせを抽出すると,ヨーロッパ2カ国は類似しており,日本とは異なる結果となった.これは当初仮定した絵画や建築様式による東西比較に準ずるものであった.また.各国の独自性がデザイン嗜好に現れているなど,製品開発をする上で多くの知見を導出できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は前年度に引き続き,調査設計のための情報収集と海外調査,デザイン評価の仕方や分析方法の研究が課題となっていた.選定した製品カテゴリーにおいて,どんなデザイン属性に着目しどう定量化するか,あるいは属性同士の組み合わせはどこまで行うべきかについて検討し,具体的に形,色に焦点をあてた実証研究を行った. 7月にオランダの研究者が来日し,メンバーで東西比較分析に関するディスカッションを実施した.これにより調査設計が一段と進展したと思われる.さらに8月・9月の2カ月間,特定国派遣研究者としてオランダで調査研究活動を行った.現地での文献調査やヒアリング調査,ディスカッションなどを通して,多くの情報を収集し,調査票の作成と本調査の実施,分析等を行うことで多くの知見を得ることができた. また,調査設計のためのデザイン評価尺度と方法について,学会報告を行うなどして,多くの研究者から意見を収集した.加えていくつかの方法論を検討し,実際の調査分析に応用することができた. しかし,研究者との日程調査が上手くいかず,中国や台湾での調査は進んでいないため,次年度に行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進策としては以下のことを検討している. まず,前年度実施できなかったアジア調査を行う予定である.これについては中国での現地調査が難しい場合も考えられ,ネット調査に切り替えるか,中国の共同研究者に委託することを検討している.さらにベトナムやタイといった東南アジアの国々についても,可能であれば調査を実施したいと考えている.特にこれら2カ国においては,当大学との提携校に知り合いの研究者がおり,協力を要請することが可能である. また,これまで実施してきた調査内容を整理・体系化し,新しい理論へ発展する可能性のあるものを抽出し,その実証研究を検討している.そのため,再度日本と欧州での調査を実施する予定である.その際にこれまで見落としてきた点や上手くいかなかった調査の修正を行い,最終的に有益な知見を創出したいと考えている.
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Research Products
(19 results)