2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330149
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小林 麻理 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (50248978)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 健次 関西大学, 会計専門職大学院, 教授 (40154231)
松尾 貴巳 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80316017)
会田 一雄 慶応義塾大学, 総合政策学部, 教授 (30159264)
中西 一 佐賀大学, 経済学部, 教授 (30284475)
城多 努 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (30423966)
|
Keywords | 行政コストマネジメントシステム / 予算編成 / 業績評価 / 会計システム / 発生主義情報 / フルコスト / 市民参加 / 協働 |
Research Abstract |
研究代表者及び研究分担者は、予算編成と行政評価のリンケージを高めるために、発生主義情報に基づく行政サービスのフルコスト情報の重要性と活用方法について、検討を重ね、さらにこの研究を進めるとともに、米国オレゴン州ポートランド市Office of Management and Budget(OMF)、Office of Neighborhood Involvement(ONI)、Office of City Auditors(OCA)にインタビュー調査を行った。OMFにおいては会計制度及び財務報告と予箪変性制度が統合され、情報のリンケージが確立されている現行のシステムについて確認し、ONIにおいては、市民参加によるコミュニティの課題解決の多様な仕組みとその運営方法を、OCAにおいては、業績評価の機能と会計部門、行政部門との関係を明確に把握し、理解した。これにより、研究課題として次の大きな2つの課題を明らかにした。すなわち、第一に、会計制度と予算制度が分離している日本において両者のリンケージを図る会計システム、情報システム、業績測定システムをいかに構築するか、第二に、公共サービスの提供において存在する様々な課題を市民参加によって解決する仕組みをいかに構築するか、である。 この調査に先立って行った、東日本大震災の被災地(北上市及び大船渡市)における意見交換においても、市民や非営利セクターとの協働の促進が行政システムの変革に必要とされる垂要な成功要因であることが明らかにされた。また、韓国調査においても、成果評価と会計システムのリンケージの促進について重要な成功要因が把握され、すべてのリソースを可視化することによる広義の行政コストマネジメントシステムの基本スキームを明らかにすることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の研究目標は広義の行政コストマネジメントシステム構築のために不可欠な要素を明らかにし、その棊本スキームを作成することであったが、実施した国内調査ならびに米国調査、韓国調査により、不可欠な要素と検討すべき課題が明らかになり、広義の資源の可視化を含めた基本スキームを描くことができ、次の研究段階への道筋をつけることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
わが国において機能する行政コストマネジメントシステムを設計・構築するためには、次の3つの研究を今後推進することが不可欠である。第一は、米国調査及び韓国調査から得られた識見の理論化、第二に、国内事例調査、海外事例調査(英国を予定)による会計制度、予算編成、業績評価のリンケージに関する情報収集とその理論化、第三に、前二者の統合によるわが国における広義の行政コストマネジメントシステムの理論フレームワークの作成とその実践モデルの構築、である。調査結果の理論集約を行うに当たっては、海外の研究者・実務家を参集したワークショップやセミナーによる意見交換を行うであり、積極的にその機会を設ける。
|
Research Products
(4 results)