2012 Fiscal Year Annual Research Report
越境する子どもと変容する教育・生活問題-日系南米人、中国朝鮮族、非正規滞在者
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23330155
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
田巻 松雄 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (40179883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUEYOSHI Ana 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (10431694)
若林 秀樹 宇都宮大学, 国際学部, 特任准教授 (50601407)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 日系南米人 / 中国朝鮮族 / 外国人児童生徒 / 非正規滞在者 |
Research Abstract |
中国延辺州龍井市で中国朝鮮族の留守児童生徒を対象とするアンケート調査を実施し、約300人に関するデータを収集した。ペルーで日系人学校を視察し、日本からの帰国により編入した児童生徒に対する各教科の指導や、スペイン語の補充指導について調査した。また、日本からペルーに帰国したペルー人児童生徒の聞き取り調査をおこないデータを収集した。ブラジルで日系人学校を視察し、日本から帰国により編入した児童生徒の教育事情を調査すると共に、現地の公立学校を視察して教育内容や環境の比較をおこなった。また、日本からブラジルに帰国した児童生徒に個別の聞き取りを実施し、日本の学校からブラジルの教育への適応についてなど、その実態を調査した。ブラジル国内で、主に出稼ぎとして日本に移住する場合の法的サポートをおこなう機関で聞き取りをおこない、保護者が家族を伴い日本とブラジルを行き来する際の問題点を調査した。ペルー、ブラジル共に現地日系人組織との連携が図れ、今後の調査に備えた有効な関係が構築された。 栃木県における外国人生徒の中学校卒業後の進路について、昨年度に続けた調査を実施した。栃木県内すべての公立中学校に協力依頼し、約120人の外国人生徒および中学3年時に日本語指導を必要とした生徒に関するデータを収集した。外国人生徒の中学卒業後の進路に関しては、日本における滞在期間の長短だけでなく、児童生徒の国籍や言語の違いも影響している事が把握できた。この全県的な調査結果は多国籍化が進む地域の現状と、数年後の日本社会が抱える課題を示しており、今後の中国・ペルー・ブラジル等現地における調査の視点や目標を明確にすることに有効に働いている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由としては、定期的な会合を開き日常的な情報交換や進度確認が実行できたことが挙げられる。また、本研究課題に関しては、過去にメンバー全員によって蓄積された研究実績があり、新たな調査を実施するに当たって豊富な情報を所有していたことも理由と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究の最終年度であることから、成果の発表を念頭におきながらさらに研究を深化させる。 6月には、これまで2年間の成果を集約したものを宇都宮大学国際学部研究論集に投稿する。また、同月アルゼンチンで開催される世界比較学会(WCCES)にて、日本の高校入試制度における外国人生徒に対する特別措置等に関する研究報告をおこなうほか、茨城大学主催による多文化共生に関する連続公開講義において、小中学校における外国人児童生徒教育の現状と課題に関する発表をおこなう。 大学授業の夏期休業期間を利用して中国・韓国・ペルー・ブラジルへの海外調査を実施し、その後4つの海外調査の成果と課題について討議をおこなう。海外調査の成果を踏まえ宇都宮大学国際学部研究論集に投稿するほか、国際雑誌への投稿準備やシンポジウム実施に向けた準備をおこなう。 12月に宇都宮大学にてシンポジウムを開催し研究成果を発表するほか、国際雑誌などへ投稿し広く成果を発信する。
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Research Products
(1 results)